ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第679話

五百二十頁目

 

 既に捕獲済みのティラノが青いオベリスクの拠点に居るのだが、どうもキャシーは自力で捕獲して乗り回してみたいようだ。

 思えば前にも一から十まで全部自分一人で作業を行い仲間にしたアルマジロに物凄く愛着を持っていたではないか。

 しかし幾らキャシーがここの動物の扱いに慣れてきているとはいえ、流石にティラノの捕獲をいきなり任せるわけにはいかない。

 

 まして日も落ちかけていることだし今日は諦めてもらうしかないと告げると、口惜しそうにしながらもこくんと頷いてくれた。

 代わりにこの件も後に機会を作ると約束させられてしまった。

 まあティラノはオベリスクの奥にいる守護者と戦う際の主戦力になるだろうから、特に反対する理由もない。

 

 そうしてキャシーが納得してくれたところで最後に原油ポンプを巡り原油を回収してから拠点へと戻ることにした。

 ……何だかんだで二人で協力してまたキチンケラチン質に加えて有機ポリマーもそこそこ採取できたし、後はソフィア達が金属鉱石を回収して焼いて置いてくれてあれば今夜中にも工業炉を完成させられるかもしれない。

 

五百二十一頁目

 

 俺の期待にたがわずソフィア達はしっかりとやるべきことを熟してくれていた。

 産卵部屋は縦に長くなっており、二階にいる雌のTEKラプトルの後ろ側には穴が開いていて卵を産んだらそのままエアコンの設置されている一階に落ちる仕組みになっている。

 また金属鉱石も比較的安全に回収できそうな場所……恐らくは赤いオベリスクに向かう途中にある水たまりの中に沈んでいる奴を取ってきて、焼いておいてくれたようだ。

 

 更にセメントも科学作業台でしっかりと作れる限り作っておいてくれてたので、後は足りない分のポリマーを作り終われば工業炉に必要な素材は全て揃う。

 ……ここまで長かったなぁ、だけど科学作業台と工業炉さえ揃ってしまえば素材不足に困ることは殆どなくなる。

 ただハンスさんはTEKレプリケーターを作ってからが本番と考えているみたいだが、そこまでいかなくても基本的なクラフトは問題ない。

 

 まあ本格的に設計図を集めて高品質な装備で固めようとするなら話は別だし、危険性を考えたら最低でもオベリスクの守護者に挑む前にはそこまで行っていないと辛いかもしれない。

 それこそ工業炉が完成したらちょくちょくカプセルを回収し始めるべきかもしれないな。

 

五百二十二頁目

 

 回収した日記は量があるため、一つ一つ皆で回し読みしては無駄に時間が掛かる。

 だから昼みたいにまた興味津々なソフィアに読んでもらい、重要そうな点を掻い摘んで教えてもらうのが良いだろう。

 そういう理由でソフィアに全部渡したのだが、実際のところは工業炉の完成が待ち遠しくてそっちの作業に集中したいという気持ちも強かった。

 

 何せ工業炉は高さこそ風力発電機に劣るけれど、全体の体積で言えば遥かに勝る。

 だからパーツ単位で作りながら組み立てていく必要がある。

 そしてそのパーツの数も多くなることから足りないパーツが出たりしないよう、出来るならば設置する場所の近くで作り始めたいところである。

 

 しかしそこで工業炉をどこに配置するのか考える必要が出てきた。

 何故ならここは最初に人が目を覚ますエリアであり、比較的多くの生存者が訪れやすい場所とも言える。

 そしてそれが意味することは……良からぬ者が近づきやすい立地であるとも言える。

 

 余り他の生存者を疑いたくはないがモーリツさんの言もあるし、何より実際に一度この拠点には泥棒が入っている。

 尤もあの時はたまたまこんな場所までやってきていた逸れゴーレムの襲撃で石の防壁が崩れていたせいでもあるが、そうでなくてもこの辺りにも富んでいるモスラの同種を仲間にした人間ならば誰でも侵入できてしまう。

 工業炉はサイズの問題で施錠した拠点内に隠しておくこともできないわけで、これの中身を盗まれるだけならばともかく意図せずとも壊されてしまうと多大なる損失となってしまう。

 

 また純粋にこの近くには金属鉱石が殆どないため、わざわざ遠くまで行って回収してこなければならなくなる。

 それらを鑑みると原油が湧く場所もあり金属鉱石も存在する緑のオベリスク近辺に設置した方が良い気がするのだ。

 ……ただあそこはまだ電気が通っていないため、まずそれらの設備を作るところからやり直さないといけないのがネックになる。

 

 尤もパララ君ごと移動すれば当面は彼の背中にある小まめに修理している発電機から電気を取れば何とかならなくはない。

 その辺りも含めて皆の意見を聞いて回ったところ、明日朝一でパララ君に乗り皆で緑のオベリスクの拠点に向かい、そこに工業炉を設置することになった。

 もちろんそれは工業炉を最大限効率的に稼働させるため……なのだが、何だかんだで水源が傍に合ってシャワーなど浴び放題なあそこがみんな恋しくなっていたようだ。

 

 実際に俺も外周部の砂漠の探索を終えた後のシャワーがものすごぉく気持ちよかったので異論をはさむ余地など全くないのであった。




今回名前が出た動物

ティラノサウルス
ドエディクルス(アルマジロ)
●●●●●●(オベリスクの守護者)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
リマントリア(モスラの同種)
パラケラテリウム(パララ君)
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