二百十一頁
余計なことをしている間に時間が過ぎて、日が暮れ初めてしまった。
恐らくまだ滞在二日目だから安全だろうけれど、万が一に備えてフローラと一緒に建物の周りを防壁で囲んでいく。
二人だから一人が作ってもう一人が設置することに専念出来て、おかげで石でできた防壁の中に大きめの恐竜が出入りする扉を作る余裕もあった。
これならトリケラ君も自由に出入りできる……後は適当に篝火を焚いて光源を確保すれば十分だ。
そうこうしている間に夜の帳が降りてきて、炎の周り以外真っ暗になった。
しかし夜空の下で炎が燃えている光景にフローラは何やら興奮しているようで、篝火の周りでぐるぐると踊り始めた。
……そう言えば俺もこの島に来たばかりの頃、炎の周りで踊ったような気がするなぁ。
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しばらくテンションも高く動いていたフローラだが、今度は空を見上げて綺麗に見える夜空に感動的な声を洩らしている。
どうやらこの島に来てからフローラはずっと家に篭りきりだったようで、防壁の中とは言えこうして夜中に外を歩くのは初めてだったようだ。
星々を見つめては感動的な声を洩らし、近くにあるオベリスクの輝きや遠くの空に見えるカプセルが放つ光の帯を見ては疑問を口にする。
そんな可愛らしい仕草に癒されながら、出来る限りわかることを説明していく。
空から降ってくる補給物資の入ったカプセル……三つあるオベリスク……見つけた日記……アーティファクトと洞窟……未だ足を踏み入れられない北方の豪雪地帯……そして火山の中にある不思議な入り口。
ふんふんと鼻息も荒く俺の話を聞いていたフローラは、明るくなったら自分も俺と一緒にこの島を見て回りたいと言い出した。
炎に照らされて赤く火照るその顔には恐怖はなく、無邪気で純粋な好奇心だけが溢れているように見えた。
本当は注意すべきなのだろう……この島がいかに危険で恐ろしい場所なのか理解させるべきなのかもしれない。
だけどフローラのその姿は余りにも魅力的で輝いて見えて、俺は見惚れて頷くことしかできなかった。
そんな俺に近づいて隣に腰掛けた彼女は、小さくお礼を口にしてそっと寄り添ってくるのだった。
しばらくの間、時を忘れてフローラと佇んでいた俺だがようやく寝る段になって前に作ったベッドが一つしかないことを思い出した。
もちろん俺は床で寝ようとしたけれど、無理やりフローラにベッドの中に引きずり込まれてしまう。
……何やら妙に胸がドキドキする……これは眠れそうにないな。
【今回名前が出た動物】
トリケラトプス