五百二十三頁目
工業炉の稼働が待ち遠しくドキドキしながら朝を迎えたせいかほんのり寝不足気味だ。
体調に影響が出るほどではないが、念のために軽い回復効果のあるカスタム料理とメディカルブリューを一本飲んで意識をシャキッとさせる。
……すぐ傍でソフィアが同じことをしていたが彼女は日記を読み耽るのに夢中だったせいだろう。
実際に俺を見るなり内容を語りたそうにしていたが、万が一にも天候の変化が起きて足止めを食らったら困るので引っ越しが終わってから聞くことにした。
ソフィアは少し不満そうにしながらも、なら急ぎましょうとばかりに他の皆も起こしてセカセカと支度にかかる。
お陰であっさりと準備が終わり、遂に緑のオベリスクがある拠点へと移動しようとした……タイミングで遠くからチカチカと光の反射が見えてしまい、思わず足を止めてしまった。
アレは恐らく前に話したモーリツさんの合図……どうやら情報交換のためか顔を合わせたいようだ。
少しばかり悩ましいけれど、最近人の悲鳴が聞こえないことも気になっていたので会いに行くことにした。
ただ少しでも早く工業炉を作って貰いたいところだったので俺とソフィアで向かうことにした。
キャシーは引っ越しのためにパララ君及び護衛の動物を引き連れる役があるし、動物の扱いも銃の扱いもいまいちなハンスさんではこういう場面で一緒に行っても余り意味はない。
もちろんルゥちゃんは論外だし、こうなると比較的銃も使えて何だかんだで野外活動の回数を熟しているソフィアを連れて行くのが最善だと思われたのだ。
……本当は他の生存者がいる可能性もあるし余り女性を連れて行きたくはないが、慎重さを忘れないためにも一人で出歩くのは止めておくことにしている。
それでも万が一のためにソフィアにはアルケンから降りずに比較的安全な空から俺の様子を見守っておいてもらい、非常時には無線で連絡を取ってキャシー達に助けてに来てもらう役に徹してもらえば流石に大丈夫だろう。
更にいざという時のフォロー役も兼ねてその傍にはガイドロボットのオウ・ホウさんも付いているのだ。
何だかんだでルゥちゃんが仲間の言うことも聞いてくれるようになったので、ここいらで少しオウ・ホウさんから離してみることにしたのだ。
尤も当の本人はカンガちゃんの袋の中で眠りについているので勝手な行動をされそうにないというのもこの判断をするきっかけになっている。
……またこの時に気が付いたこととして、何でか知らないがオウ・ホウさんのガイドロボットは俺の傍に浮かぶことはできなかった。
どうもガイドロボットは持ち主のインプラントと何かしらの反応を介しているようなので、これはもしかしなくても無理やり右手首に埋め込んだフローラのインプラントのせいなのかもしれないが、まあ取りあえず問題にはならなそうなので気にしないことにしておこう。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)
プロコプトドン(カンガちゃん)