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陸上の動物を元の拠点に戻し、ついでに順調に増えているTEKラプトルの子供達の様子を確認してから緑のオベリスクの麓にある拠点へ移動する俺達。
意気消沈している俺達に対して事情がよく呑み込めてなさそうなルゥちゃんは一足先にパララ君の背中へと降り立ったかと思うと、皆の分の食事を両手に抱えて戻ってきた。
普段なら昼食を食べる時間なだけにルゥちゃんなりに気を効かせて用意してくれるつもりのようだ。
……正直助けられなかった犠牲者のことを思うとあまり食欲はないけれど、彼らへ同情する余り自分達の体調を崩していては元も子もない。
何より俺達の様子に小首を傾げているルゥちゃんにも余計な心配を掛けたくなくて、俺達は表面上だけでもいつものように振舞いながら昼食を取ることにした。
そしていつものように今後の予定についても話し合うことにしたが、まず最初に上がった話題はやはり工業炉についてであった。
元々の予定では皆で協力して一気に完成させるつもりであり、もちろん優先度的に考えても今日中にやっておくべき仕事でもある。
だけど先ほどの一件で他の生存者へ手を差し伸べる方法も考えたいところであり、ここは少し時間が掛かっても分担してはどうかという話になった。
前に俺とフローラで作り上げた時のことを思えば二人もいれば半日程度で設置は済むはずだ。
後は残るメンツで他の生存者への支援方法を充実させるべく動けば……いや問題はどういう支援をするかなのだがこれがまたいいアイディアが中々浮かんでくれないのであった。
一応もう一体パララ君を捕まえて新たなに移動拠点を完成させた上で最初に生存者が現れる場所を巡回する方法を考えてみたが、巡回者の労力が半端ない上にあんな巨体を乗り回していたら逆に生存者へプレッシャーを与えて恐慌に陥らせかねない気もするし……本当にどうしたものか?
……なお先日この一番熱い時間帯にフェニックスを探しに行く話もあったが、流石に他の生存者への支援を優先すべきと考えているのかキャシーはその話題に触れることはなかった。
またソフィアもあれほど新たに手に入れた日記の内容を話したがっていたはずだが、やっぱり今はそういう話をする空気出ないためか口にすることはなかった。
……どっちも気になることではあるのだけれど、やはり今は他の生存者への支援方法を考えるのに専念しよう。
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あの場所の生存者を支援するとなればモーリツさんの協力も欲しいとは考えていた。
だから彼にも連絡を取ってみて、もしタイミングが良いようであれば一緒に相談しようと思った。
果たしてこの選択が正解であったようで、こちらの話を聞いた彼は少しだけ悩まし気にしながらも幾つかの提案をしてくれた。
まずモーリツさんは今のところ別の場所に移る気はないようで……尤も動物の襲撃に備えて寝る場所などは細かく変えているらしいが、ともかくこのまま最初のエリアで他の生存者との交流をし続けるつもりのようだ。
そのため俺達が移動拠点を作って譲渡してくれるというのならば、ある意味で生存者に会うという目的が同じである自分がそれに乗って巡回して助けて回ろうというのだ。
移動拠点があればモーリツさんとしても休む場所に困らなくなるし助けた生存者ともより安全に交流できるようになる。
何より光源をつけたまま移動できるため夜中も活動しやすくなり、また暗闇の中で動物に追われている生存者も見つけやすくなり恩を売りやすくなるだろうからむしろ助かるとまで言ってくる。
既にここに来てから多くの生存者と上手いこと交流できている彼ならばこちらが危惧していた移動拠点の見た目の威圧感による初対面の人への悪影響も最小限に抑えられるだろうし、確かに彼がそうしてくれるのならばありがたい。
……ただそれだけではぶっちゃけ今までと変わらない……それこそ元居た場所へ帰ろうと外周部の砂漠へ乗り出す人達の犠牲を減らす方法も考えないとまた同じ悲劇が起こる。
そう考えていたのは俺達だけでなくモーリツさんも同じであったらしく、そこで改めて俺達の戦力ならば外周部の砂漠にも乗り出せるのか確認してきた。
もちろんアルケンで飛んでいくだけでなく、先ほどの一件からちゃんと戦力となりうる動物を引き連れていれば後は一番熱くなる時間帯さえ避ければ何とか行って戻ってくる事が出来るのはわかっていた。
それを告げるとモーリツさんはそれならばともう一つの提案を口にしてきた。
……どうしても帰りたがる人が出たら俺達を呼ぶから、そいつらの護衛として一緒に付いていき外周部の砂漠の端にあるというバリアを認識させてきてくれないかと。
幾ら現実離れした話に付いていけない人間であっても実際にここから外へ出られないことに気づけば嫌でも引き返さざるを得なくなるだろうから……そうやって犠牲者を減らそうというのだ。
今回名前が出た動物
TEKユタラプトル
パラケラテリウム(パララ君)
フェニックス
アルゲンダヴィス(アルケン)