ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第691話

五百四十四頁目

 

 まさかモーリツさんが他の生存者のことをそこまで考えていてくれるとは思わなかった。

 少なくとも先ほどあった時には忠告を無視するような輩は放置しても構わないぐらいのことを言っていたというのにだ。

 あの時の会話で思うところがあったのか、それとも他に考えがあるのか……それは分からないが上手く行けば犠牲者を減らすことができるだけにその案に乗らない手はなかった。

 

 ただ同時に思うのはモーリツさんだけに任せっきりで良いのかということ。

 生存者がやってくる時間帯ははっきりしないため、朝昼晩どころか夜中まで頻繁に最初のエリアを見回る必要があると思う。

 それをモーリツさん一人にやらせっきりだとそれこそ眠る時間も殆ど取れなくなるのではないか?

 

 しかしそれをモーリツさんに伝えると新しく出会った人の中から似たような考えの人間を見抜いて協力させるから問題ないという。

 むしろ彼曰く、今のこの過酷すぎる状況が正常でないというのならばそれを直すのを最優先にして欲しいと言われてしまった。

 この場所で新たな秩序を作るのを見守るにしても環境が安定しているに越したことはないのだから……そしてそれを行えるのは間違いなく今の時点で最もこのARKで繁栄している俺達にしかなせないことなのだからと言われてしまった。

 

 要するに適材適所ということだろうが、冷静に将来的な暮らしやすさまで見越して……それでいて多分一番危険な作業である守護者退治を俺達に任せようとする辺り抜け目がないというか優秀過ぎるというか……でもまあこうして協力できるうちは物凄く頼りになる気がするなぁ。

 

五百四十五頁目

 

 取りあえず本日の予定としては工業炉を始めとした電化製品を作ってこの拠点を進化させる組とパララ君を捕獲して移動拠点を作りそれをモーリツさんに届ける組に分かれることになった。

 拠点組の方はハンスさんが中心となり、もう一つの作業は俺が中心になって行い、女の子三人は必要に応じてそれぞれの作業を協力してもらう形を取ることにした。

 取りあえず最初はハンスさんとルゥちゃんに工業炉造りをお願いし、その間に俺はソフィアとキャシーを連れてまずはパララ君の同種を探しに向かう。

 

 まっすぐ空へと飛びあがりまずはぐるりと周囲を見回すが、残念ながら近くにはいないようであった。

 尤も前に捕獲したことを考えれば緑のオベリスク近辺にも出没するはずなのだが……と考えながらも周囲を見回していたところ、例のごとくソフィアが目敏く何かを見つけて大声で騒ぎだした。

 果たして彼女の見ている方へ視線を向ければパララ君の同種……じゃなくて機械の身体のティラノサウルスだとぉっ!?

 

 まさかティラノのTEK個体も存在していたのかっ!? 凄いビックリしたけど、それ以上に全体的に緑がかっててなんか凄く格好いいぞっ!!

 思わず興奮してしまった俺だが遅れて存在に気づいたキャシーが目を輝かせながら今すぐにでも捕まえんとばかりに身を乗り出していた。

 しかしすぐに自分の仕事を思い出したのか、物凄く後ろ髪惹かれる様子ながらも必死に目を背けてパララ君の同種探しに戻ろうとしている。

 

 ……犠牲者を減らすためにも少しでも早くパララ君の同種を移動拠点に改造して届けないといけないからなぁ。

 あの個体が珍しくて捕獲したい気持ちは俺も同じだが、ティラノはそうそうやられたりしないだろうし流石にこの作業が終わるまでは我慢しよう。




今回名前が出た動物

パラケラテリウム(パララ君)
TEKティラノサウルス
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