ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第692話

五百四十六頁目

 

 パララ君の同種は巨体な事もあり、この過酷な砂漠においても目立つし生存率も高い。

 だから少し離れたところに居た個体をあっさり見つけることができたし、捕獲に関してもちょうど程よい岩場の段差を利用して上から打ち下ろすことで問題なく仲間にできた。

 そして連れて帰ったところで一旦キャシーとソフィアには工業炉の組み立ての方を手伝ってもらうことにする。

 

 何せ移動拠点を作るためのプラットフォームサドルからその上に乗せる設備まで、金属のインゴットがかなり必要になるのだ。

 そのため俺がプラットフォームサドルとその上に乗せる岩と粘土の建材を作っている間に工業炉を完成させてもらい、さっさと鉄を焼き始めてもらいたかったのだ。

 果たしてこの分業のお陰で岩の建材を鎧の様に着込み、その内側に熱に強い粘土の居住区を作り終わる頃には工業炉も完成したようで遠くから皆の歓声が聞こえて来ていた。

 

 実際にみんなのところへ向かってみると早速火の入っている工業炉の中で勢いよく金属鉱石と木材が燃やされており、その圧倒的な火力を目の当たりにした女性陣は圧倒されているのか目と口を開いたまま見入っていた。

 それに対してハンスさんは凄まじい速度で出来上がっていく金属のインゴットと木材の数々に満足するように頷きながらも、既に次の作業に移るべく風力発電機に必要な素材の確保に動き始めているのだった。

 

五百四十七頁目

 

 工業炉のお陰で金属のインゴットに困らなくなったことで、思った通り設備作りが潤滑に行えるようになった。

 また緑のオベリスクの周りを囲む湖の中には真珠も取れるため、それと掛け合わせることで電子基板も作り放題だ。

 もちろん科学作業台のお陰でセメントも効率的に作れるようになった上に先ほど外周部の砂漠の動物を一掃して回ったことで、希少資源も十分すぎるほど潤っている。

 

 その際に狩ったカマキリの数に対して採取出来ている有機ポリマーの量が多すぎることから、恐らくサンドワームからも有機ポリマーが取れるであろうこともわかった。

 まあそれはともかくとして遂に俺達はかつての島に居た頃の様に素材に悩まされる心配が殆どなくなった……まさに産業革命を迎えたのだ。

 すぐにこの拠点も風力発電機を設置しそこから電線を引いて冷蔵庫やエアコンの完備した快適な空間へと作り替えていく。

 

 そして資材に余裕が出来たこともありモーリツさんに譲渡する予定のパララ君二号にも可能な限りの設備を作っておくことにした。

 作業机やすり鉢に収納ボックス、食料保存塩を入れた食料保存庫に椅子やシンプルなベッド、そしてガソリンを入れた旋盤も設置しておく。

 生存に関係ない設備まで用意するかは少し悩んだが、優秀なモーリツさんなら選択肢が多い分上手くやってくれるかもしれないと判断してのことだ。

 

 ……敢えて口にはしなかったが少しだけ彼が敵に回ったら困ったことになるのではという想いはチラついた。

 何せ旋盤があれば高度な武具が作れるようになる……それこそ重火器さえもだ。

 多分他の皆も同じことを考えたとは思うが、それでも誰も文句を言うことはなかった。

 

 誰かを疑うより信じたい、ということなのだろう。

 ただ科学作業台の設置は流石に見送ることにした。

 幾ら素材が余っているとはいえ科学作業台に使う素材の量はかなり負担が大きい多い、というのもあるがそれ以上に動かすのに電気が必要となる点がネックだった。

 

 風力発電機は大きすぎて移動拠点には載せられないし、かといって普通の発電機は砂の影響ですぐに故障してしまう。

 モーリツさんが自分で修理できるようなら話は別だけれど、そうでないのならせっかくの高価な装置が無駄にスペースを取るだけになってしまうからだ。

 それでも一応発電機自体とまた素材が少なく済む冷蔵庫とエアコンに周囲を照らす全方位ランプと前方を照らしだせる証明は設置しておくことにした。

 

 分かりやすくその能力を体験できる電化製品を一時的にでも使ってもらうことで、過去の人間にも電気の便利さに気づいてもらいたいからだ。

 ……まあ純粋にこの暑い砂漠でもエアコンと冷蔵庫のお陰でそれなりに快適に暮らせている身としては、他の人にも同じ恩恵を味わってもらいたいという気持ちも大きかったりするのだが……。




今回名前が出た動物

パラケラテリウム(パララ君の同種・パララ君二号)
カマキリ
デスワーム(サンドワーム)
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