ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第693話

五百四十八頁目

 

 完成した移動拠点を早速モーリツさんに届けようと俺は護衛の動物として連れているカルノンの同種とコレオちゃんの同種を操るキャシーと共に拠点を後にする。

 一応アルケンは連れているが、今回俺はパララ君二号に乗っておりキャシーはカルノンの同種に乗っているため久しぶりに地上を移動することになる。

 尤もキャシーは引っ越しの際によくパララ君を操っていたため久しぶりというほどでもないらしく、むしろ俺より慣れた様子でカルノンの足の速さを活かして周囲の警戒に当たってくれていた。

 

 そうしてキャシーが刺トカゲやらラプトルやらをパララ君二号が襲われる前に処理してくれるため、俺はパララ君二号のスタミナに気を付けるぐらいしかやることはなかった。

 尤も非常時に備えていつでもパララ君二号の上から弓矢で敵を射抜けるよう警戒自体は怠っていないのだが、結局何の問題もないままモーリツさんとの合流地点まで到達できてしまう。

 こちらに気づいたモーリツさんは移動拠点を間近で目の当たりにすると少しだけ少しだけ感心したように声を漏らしていた。

 

 そして実際に背中に乗った彼に中の設備を説明していくと、ふんふんと真剣そうに一つひとつの性能を確認して……特に電化製品の効能に関心が向いたようで事細かく色々と質問をしてきた。

 使い方や実際に退官している以外の効果に始まり、遂には構造や科学的な仕組みについてまでも……しかしハンスさんならばともかくインプラントのお陰で作れているだけの俺には専門的なところまで説明できるはずもない。

 それでも何とかわかる範囲で説明していったところ、ある程度したところでようやく満足したように質問を打ち切ってくれた。

 

 ……しかし電気の無い時代の人間なだけに興味を惹かれるのはわかるが、何でまたこんなに食いついたのか?

 なんて俺の疑問が顔に出ていたのかモーリツさんは簡単に説明してくれた。

 要するにこれから多くの生存者に出会う中でこういう電化製品を知っている人間もいるだろうが、知識の差を利用してこちらを騙そうとする相手を見抜けるようにある程度知っておきたかったとのことだ。

 

 ……良く分からないが要するに知ってることを知らないふりをしてカマを掛けることで相手の答えから誠実さを見抜こうということなのだろう、多分。

 そう思ったところでふと始めて会った際に彼と交わした会話を思い出す。

 あの時、モーリツさんはインプラントを眺めてクラフトを思いつくことを知らないと言っていたが後にソフィアとの会話の中で、クラフトを知らないにしては装備が整いすぎていると指摘されたことがあった。

 

 もしかしてあれもこちらの対応を見るためにカマを掛けていたのではと思いつき実際に聞いてみると、少し黙った後でその通りだと認めてくれて、あの折は失礼な真似をしたと申し訳なさそうに頭を下げてくるのだった。




今回名前が出た動物

カルノタウルス(カルノンの同種)
ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
アルゲンダヴィス(アルケン)
パラケラテリウム(パララ君二号)
モロクトカゲ(刺トカゲ)
ユタラプトル
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