五百五十四頁目
夜の闇の中をアルケンに乗って上空まで飛び上がっていく。
そうして周囲を見回すと遠くの景色まで見ることができるが、暗闇に包まれているこの状況では光を放つモノしか目に入ってこない。
光の帯を纏って空から降り注ぐカプセルに煌々と発光するオベリスク、また真下にある俺達の拠点もまた電灯の力で昼間の様な明るさを維持しており非常に目立っていた。
何もない頃は篝火や松明といった炎による原始的な光源も十分明るく思えていたが、こうしてみるとやはり電灯の明るさは桁違いだった。
それこそ離れたところを移動しているパララ君二号のものと思わしき輝きもまたしっかりと見えているほどだ。
もしあれが篝火だったら距離のせいでああもはっきりとは見えなかったであろう。
つまり逆に言えばあれだけ眩しければ他の生存者が見落とす可能性は殆どないはずだ。
実際に今夜もまた哀れな犠牲者の悲鳴と思わしきものは聞こえていない。
定期的にパララ君二号が動きを止めているところを見るとモーリツさんはしっかりと移動拠点を使いこなして他の人を助けてくれているようだ。
俺の隣で同じようにパララ君二号の動きを観察しているキャシーにそう告げると、彼女もまた同じ結論に至っているのか難しそうな顔をしながらもコクリと頷いて見せた。
……ただ未だにモーリツさんへの警戒心が解けていないようで、定期的に観察に来る必要がありますね、とも呟いていた。
どうやら拳銃持ちに対するモーリツさんの対応が余程気になっているようだ。
まあ考えてみれば俺はARKにおけるサバイバルには今まで出会った誰よりも慣れている自信があるけれど、人同士の争いについては殆ど経験していない。
特に重火器での打ち合いにまで発展しかねない状況など、前の島では出会った全ての人と仲良くなれただけに想定したことすらなかった。
しかしもしも銃で撃たれたら下手しなくても重症、悪ければ命を落とすわけでそれこそ下手な肉食の攻撃より遥かに危険なわけで、銃社会に慣れているキャシーぐらい警戒するのが本当は正しいのかもしれない。
何せ前にもモーリツさんはクラフト出来ることなどを隠していた前科がある……銃の扱いに慣れているというのならば、それこそ拳銃の一つや二ついつでも打てる状態で隠し持っているぐらいできそうだからだ。
……もしかしなくてもモーリツさんが言ったキャシーが自分に似ている点というのは、この銃関係に対する警戒心の強さからくる抜け目のなさを指摘していたのかもしれないな。
五百五十五頁目
そういえばフローラ以外の異性と二人っきりで夜を過ごすのは初めてではないだろうか?
メアリーの時は他の仲間が居たし、こちらの砂漠に来てから出会った女性陣のうちキャシーとソフィアはいつでも一緒だった。
後一応幼いとはいえ女の子であるルゥちゃんも、いつだってハンスさんと共に見守っていた。
だからこうしてキャシーと二人で夜を過ごすことになり思うことがないかと言えば……自分でもビックリするぐらいなかった。
何だかんだでキャシーが魅力的な女性だとは認識しているのだが大事な仲間であるという意識しかなく、それこそハンスさんと二人で夜を過ごしていた時と同じような心境だった。
それだけ今もフローラのことを愛しているのだろうと認識できて、改めて彼女を生き返らせるためにもっともっと頑張ろうという気持ちになってくる。
そのためにもこれからは僅かな時間も惜しんで積極的に動いていくべきかもしれない。
だからかなり小まめに書いていたこの日記も、かつてのように少しでも時間を節約するためにもう少し間隔をあけて書いて行った方が良い気がする。
ほんのわずかな差だろうけれど、また君に会える時を一秒でも早くしたいからさ……
まあそんなこと言っても特別なこととか驚くような出来事があったら気持ちを落ち着かせるために筆を執ってしまうだろうから、案外ペースが変わらなかったりしたりして……?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
パラケラテリウム(パララ君二号)