ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第700話

五百五十八頁目

 

 軽く黒い果実を齧りつつ、眠くなるまでもう少しだけ筆を動かすことにしよう。

 尤もこれまでの状況は大体説明した通りで、工業炉とTEKラプトル牧場それに外周部の砂漠での狩りによりコレオちゃんの高品質サドルはガンガン作れるようになった。

 更にコレオちゃんの同種も地味に繁殖させつつ緑のオベリスク近辺に湧く個体も捕獲したことで二十匹近くまで数が増えていたが、昨日の時点で全個体に高品質サドルを装備させることができたのだ。

 

 それに加えて俺達の装備している熱に強い砂漠用の防具に関しても、少しだけ高品質な物を人数分作ってある。

 これはもちろんカプセルから回収した設計図を元に作った物なのだがそれを見つけたのは俺達ではなくモーリツさんであった。

 最初のエリアを巡回する関係上、自然と近くに落ちてくるカプセルを回収する機会も多く、その中に混じっていた物らしい。

 

 貴重なものだとわかっているため譲ってくれはしなかったが、実際に作るのに多くの素材を消費することから自分の分も作ってくれるならばと一時的に貸してくれたのだ。

 他にも武器に関しても拳銃ではなくアサルトライフルも原始的な物だが人数分作ってある。

 連射する関係上、今までは弾の消費の問題もあって作るに作れなかったがこれもまた工業炉と科学作業台で一気に火薬の材料となる木炭と発火粉が作れるようになった。

 

 そうして火薬さえ作れてしまえば後はやはり工業炉で大量に精製できるインゴットさえあればいいため、これもまた十分すぎる数……と呼ぶにはちょっと心許ないが数百発分は揃えることが出来た。

 元々コレオちゃんの高品質サドルさえ数が揃えば洞窟攻略に乗り出すつもりだったのに、ここまで準備が整ってしまえばもはや躊躇する理由は全くなかった。

 ……いや正確にはハンスさんだけはもう少し時間が欲しいと言っていた。

 

 何故ならTEKラプトル牧場からエレメントダストが取れるようになったことで事実上俺達はエレメントを精製できるようになっているため、理論上はTEKレプリケーターを始めとしたエレメント製品を作ることができるのだ。

 ハンスさん曰く、自分の科学知識があればそれこそテレポーターやオベリスクと同じ機能を持った設備を始めとした様々な未来の道具を作れるとのことで、万全を期すためにもそこまで文明を発達させてから動き出さないかというのだ。

 

 尤もエレメント一つ精製するのにかなりの数のエレメントダストが必要なため、そこまで行くにはかなりの時間が掛かってしまうだろう。

 別に今の時点でも入って出てくるだけなら問題ないぐらいの準備ができているわけだし、少しでも早くこのARKのバグを直すためにも今の時点から動いておくべきだ。

 そんな俺の意見を述べた上で同時進行でエレメントの精製も進めていけばいいと告げるとハンスさんもすぐにわかってくれた。

 

 ……ただ実際のところ俺個人としてはロックウェル氏の日記を読んだこともあり、エレメントに対する警戒心が強くなっていた。

 確かにTEKレプリケーターは非常に便利でエレメントが凄まじい力を秘めており物凄い恩恵を与えてくれるのも理解している。

 それでも俺はあの悍ましい鉱物をあまり手元に置いておきたくはなかった。

 

 もちろん必要とあれば前の島の時の様に利用するつもりでいる……が、当時のことを思い出して俺はどうしても不安な気持ちを隠し切れなかった。

 フローラとオウ・ホウさんも同じなのか、どちらの鉱石も何やら意味深に瞬いているように見えた。

 またソフィアもエレメントに興味こそありそうだがどこか恐ろし気に震えており、キャシーはそんな彼女を抱きしめながらこちらも難しそうな顔をしていた。

 

 唯一ルゥちゃんだけはやっぱり意味が分からなそうに小首を傾げていたけれど、エレメントダストを薬代わりにしている上に未来製品のピカピカに惹かれていた彼女はそれこそエレメント自体も気に入りかねないし、特に注意した方が良い気がする。

 まあそれはともかく、そうして洞窟を攻略すると決まったところで俺達は詳細な計画を立てることにした。

 まず最初に向かう場所だが、取りあえず青いオベリスク近辺の山の中にある最初に見つけた洞窟を選んだ。

 

 あそこだけ足場がしっかりしているため洞窟の真ん前に前線基地を立てられるためだ。

 ただ山の中だけに極稀にゴーレムが湧くため岩の拠点ではなく金属の拠点を作り、そこに昨夜のうちにコレオちゃんの同種を十五匹集めておいた。

 ……全部じゃないのは中で何かトラブルが起きて連れ込んだ動物を失うことになった際にまた繁殖で増やせるようにだ。

 

 尤も一度で洞窟を攻略しきるつもりはなく、あくまで明日は慎重に潜れるところまで潜り地形を調べつつ他にどんな道具が必要か調べるのが第一目標だ。

 だから無理をする気はないのだが……それでもちゃんと休んで英気を養っておくに越したことはない。

 ……うん、大体かけることは全部書いたな……ちょうど眠気も襲ってきたことだし、そろそろ眠るとしよう。




今回名前が出た動物

TEKユタラプトル
ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
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