五百六十二頁目
壁に囲まれた一本の下り坂を進んで行くと正面に水場が現れた。
それなりに深い水場は左側に向かって奥まで流れているようで、無理やり泳いでいけばどこかへ繋がっているのかもしれない。
ただ左側には壁とその水辺に沿うように細い足場が続いているため、今のところはわざわざ水の中へ飛び込む必要はないだろう。
……そう思ったのもつかの間、左の壁沿いに少し進むとすぐに足場が途切れて先ほどの水路が横切っているではないか。
ただその水路を飛び越えた先には奥へと続く別の足場が見えている。
それなりに距離はあるがコレオちゃんの脚力ならば助走をつけて飛べば何とか向こう側に着地できそうだ。
……まさかいきなりジャンプできない動物を連れていたら進めない行き止まりにぶつかるだなんて、ひょっとして本当にここは洞窟という場所に慣れてから攻略するような難易度の高い場所なのだろうか?
五百六十三頁目
もしも前の島で言う毒ガス洞窟や雪山に会った強敵ばかりの洞窟のような難所ならば必要以上に警戒しておかなければいけない。
だから向こう側にいきなり人が飛ぶのではなく、まずは誰も乗っていない個体に細かく指示を出して飛び移らせることにした。
尤も人が乗っていない状態では精密な動作をさせるのが難しく、まして助走からの飛びつきはジャンプするタイミングもあって何匹かは水の中へ落ちてしまう。
それでも水面からジャンプすることで無理やり這いあがれなくはなさそうであるが、水に濡れた壁が滑るのか意外と苦労している。
このまま水に落ちた個体が這い上がるのを待っていても時間が勿体ないし、渡った個体が安全そうなのを確認すると今度は俺が飛び移ることにした。
少しだけ緊張したが前の島では全ての洞窟を一人で周り攻略した経験もあって身体はスムーズに動き、問題なく向こう側に着地することができた。
そんな俺の動物捌きを見てソフィアとハンスさんはおおーっと声を上げており、キャシーは自分ならできるという自信があるのかやりたそうにウズウズしていた。
ただ皆を越させる前に改めてこっち側が安全か自分の目で確かめることにする。
果たして周りを見回すと先に進む道が三か所ほどに別れており、うち水辺沿いに続く道の先には何かの生き物の骨があり、その近くを羽ばたく蝙蝠らしき動物の姿が僅かに見えていた。
一応まだ距離があるためにかこっちには気づいていないようだが、他の皆が飛び移る際にバタバタと物音を立てたら襲ってくるかもしれない。
……ここはいっそ先に倒しておくべきか……いやその前に残る道にも敵がいないか軽く調べておこう。
今回名前が出た動物
ティラコレオ(コレオちゃん)
オニコニクテリス(蝙蝠)