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先ほどの道は天井に隙間があるのか光が差し込めていたために先を見通すことができた。
それに対して向かって正面には右と左にそれぞれ壁に囲まれた細い道が続いているが、そちらの壁には他の洞窟でもよく見かけた発光する苔のようなものが付いているためこちらもまたある程度見通すことができたが野生動物の姿はなかった。
……まあ穴に潜んで飛びついてくる害悪のような存在が隠れていないとは言い切れないが、この調子なら取りあえずあの蝙蝠をどうにかすれば問題ないだろう。
そう思いつつもう一度念のために周りを見回すと、ふと右側の壁沿いに水中へと続く斜面のような地形を見つけた。
コレオちゃん一匹がギリギリ通れそうな狭い坂道だけれど、ここを通らせることで水中でもがいていたコレオちゃん達を這い上がらせることができた。
……凄いわざとらしい地形だし、多分これってジャンプできない動物で入った時に水路を通じて渡れるように用意された道なんじゃないか?
もしそうだとしたら、動物の選定にミスった人のために救済処置が用意されている洞窟ということになるわけで……やっぱりそこまで難易度が高い洞窟じゃないのかもしれないなぁ。
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この洞窟の難易度の見極めは早い方が良い。
そしてわかりやすく見極める方法として、厄介な洞窟ほど野生の動物がガチガチに硬く強力な個体が多く、また仲間にすることもできなかったりする。
だからこそ今見えている何匹かの蝙蝠と戦ってみればある程度は判別できるはずだ。
そう思った俺は無事こちら側に来させることができた誰も乗っていないコレオちゃん達に指示を出し蝙蝠に襲い掛からせてみた。
そして蝙蝠たちがコレオちゃんの同種の方に意識が向いたところで俺もまた高品質の弓矢でもって援護射撃を行ってみると蝙蝠はあっさりと倒れていくではないか。
……どうやら俺の杞憂だったようだ……この調子だと多分この洞窟の難易度はそこまで高くないだろう。
最悪の場合でも恐らく最初に俺が見積もった通りマグマの洞窟ぐらいの難易度だろうし、あそこは事前準備さえできていれば一度で攻略できるような場所だった。
今の俺達はかなりしっかり準備してきているし、これならとんとん拍子に攻略できてしまうかもしれないな。
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安全を確保できたところで他の皆にもこちら側に飛び移って貰うことにした。
まず前に居たルゥちゃんとソフィアが飛んだが、意外にもルゥちゃんはしっかりと飛び移ることができた。
まあガイドロボットのオウ・ホウさんがすぐ傍でタイミングを指示していたお陰でもあるのだろう。
それに対してソフィアは地面を蹴るタイミングが早すぎたのか少し高くなっている足場には届かなかった。
しかしこれちゃんの爪が壁に引っかかったことで強引によじ登ることができたようで、ほっとしたように胸を撫で下ろしていた。
尤も水に落ちても例の坂道を使えば上がってこれるのだから問題ないのだが、今後洞窟を攻略する上で似たような場面は幾つもありそうだし、そう考えるとある意味で良い練習場所かもしれない。
次いでキャシーとハンスさんが飛び移りにかかるが、もちろんキャシーは完璧に着地を決めて見せた。
それを見て自分もと意気込んだ様子のハンスさんであったが、ギリギリのところで躊躇してしまったのか助走が足りず……ドボンと水の中へ落ちてしまった。
まあハンスさんは元々動物の扱いは苦手だったうえに、拠点でのクラフト関係ばかりお願いしていたせいで野外活動は控えめだったからこればっかりは仕方ないだろう。
今回名前が出た動物
ティラコレオ(コレオちゃん)
オニコニクテリス(蝙蝠)