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ゴーレム以外の敵を駆除しきったところで改めて先の方を見てみると、またしても二つの道に分岐していることが分かった。
今度もまた右の壁に沿って調べて行こうと右の道から進むが、再び蝙蝠に蜘蛛に加えてカマキリが襲い掛かってくる。
蝙蝠から病気を移されないようにだけ注意しながら、もちろん仲間にする必要はないと駆除していくがキャシーも特に何も言わなかった。
恐らく流石の彼女もフローラと同じく見た目がアレな蜘蛛とかは余り好ましく思っていないのかもしれない。
或いは単純に麻酔矢の残りを気にしてのことかもしれないが、確か蜘蛛と蝙蝠は敵対されていない状態で餌を手渡しすることで仲間にできたはずだ。
尤もあの時は蟲系に気づかれにくくなる防虫剤を使った上で更に迷彩柄のギリー装備を使って何とかしていたはずだ。
……とそこまで考えたところでふと今一緒に倒したカマキリも昆虫、つまり虫系であることに気が付く。
ひょっとしてこいつにも防虫剤は効くのだろうかと思ったのと同時に、もし効果があるのならばもしかして普通に眠らせて仲間にできないこいつもムカデや蜘蛛のように手渡しで餌を渡すことで仲間になるのではないかという想いが頭をよぎる。
そしてカマキリは先達者様の残した日記が確かならば道具を使うことができるという。
実際にそんなことをしている個体を見たことはないが、もしも動物のパワーで採掘道具などを使わせられたらより効率的に素材を採取できるようになる。
また身体のサイズ的に狭いところも入っていけそうだし、高品質の武器を装備させたら色々と活躍させられるのではないか?
そう考えると今すぐにでも仲間にできるか試したいところであるが、流石に洞窟の中で本当に上手くできるかもわからないことを試すわけにはいかない。
そもそも防虫剤もギリー装備もないのだから気づかれずに近づくのも困難なのだが……いやだけど、なんか砂漠に来てからある時期を境に動物がこちらの接近に気づきにくくなっている気がする。
前も一度感じて色々と検証したいと思っていたが結局原因はわからないままだが、まあこれも何れは調べてみないとな。
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何だかんだでそこそこ時間が経過していることもあり、また純粋に熱気によって喉が渇くため定期的にサボテンスープに口をつける。
そうして身体が冷えたところで改めて意識を集中させて蛇行しながら続く道を進んで行くと、何やらU字の様に折れ曲がった先のほうからほんのりと黄色い光が漏れている。
その手前にたむろっていたサーベルタイガーとサソリを駆除しつつ曲がってみると、そこには洞窟特有の逆三角錐型をしたカプセルがあるではないか。
基本的に洞窟のカプセルからは外の奴より良い物が手に入る可能性が高いため、ワクワクしながら手を伸ばそうとした……ところで他の皆もまた興味深そうに見ていることに気が付いた。
……そういえば彼らは洞窟で見かけるこのタイプのカプセルは初めてだろうし、どうせなら体験させてあげた方が良いかもしれない。
そう思って周りに敵の姿がないのを確認した上で開けたい人を募ると勢い良くキャシーとソフィアが手を上げたかと思うと、ハンスさんもおずおずといった感じではあるが手を上げ……更に珍しいことにルゥちゃんまで手を挙げていた。
恐らく見た目と発光具合が、近未来的なものに引かれているルゥちゃんの感性に響いたのだろう。
こうなるとやはり幼い子の意見を尊重すべしという感じでみんな譲ってくれた……が、特に女性陣が物凄く口惜しそうにしているのがちょっと面白かった。
そんな皆の様子に気づくことなくルゥちゃんは躊躇することなくカプセルに手を伸ばしたところ……赤く点滅するだけでカプセルはそのままであった。
……そういえばカプセルの開閉には色事に制限があったんだ……最近はクラフトを手伝っているとはいえ基本的に余り活躍してないルゥちゃんじゃ黄色いカプセルを開けられるほど経験を積んでいると見なされなかったようだ。
何度もぺちぺちとカプセルの表面を叩くルゥちゃんの仕草はちょっと可愛かった……けれどすぐに事情を察したらしい三人はそれどころではないらしく、慌てた様子で再び立候補しだしたではないか。
別に誰が開こうと中身は変わらないはずだし適当にじゃんけんでもして決めるように言ってみるが、それがまた女性陣に余計な混乱を招いてしまった。
……ジャンケンって古くからある世界共通の概念だと思ってたけど、そうじゃなかったの?
今回名前が出た動物
ラブルゴーレム(ゴーレム)
オニコニクテリス(蝙蝠)
アラネオモーフス(蜘蛛)
カマキリ
サーベルタイガー
プルモノスコルピウス(サソリ)