五百七十六頁目
ジャンケンのルールを理解した三人の勝負は、途中で意味の分からないまま参戦してきたルゥちゃんのせいで混迷しつつもソフィアの勝利に終わる。
……正確には下手に知識があるせいで余計な真似をしたハンスさんが真っ先に負けて、次いで何か思いついた様子で岩にも紙にも鋏にでも勝てる最強の手と称し親指と人差し指を伸ばして銃を繰り出したキャシーが反則負けになったのだ。
尤もそこまでして開いたカプセルの中から出てきたのは火矢と油壷とちょっとだけ品質のよいモレラトプス……あの瘤付きのサドルであった。
どれも当たりとは言い難い中身でありちょっとガッカリする。
せめてサドルに関しては設計図であればまだマシであったのだがよりにもよって現物ではどうしようもない。
しかもあの瘤付きは水を蓄えて移動できる能力こそあれど、ぶっちゃけサボテンスープやオリジナルドリンクを自作できる今の俺達には連れ歩く必要のない動物である。
ただ逆に言えばそこまで発展していないトライブなら役に立つかもしれないから、そう考えるとモーリツさんへのお土産に良いかもしれない。
……前の島に居た時は不要な品は全て工業用破砕機で砕いて素材だけ回収したものだが、あれの製造コストは工業炉以上なのでまだ作っていない。
しかしこうして洞窟巡りもするようになり今後はカプセルからこの手のものを回収する頻度も増えるだろうし、そろそろ工業用破砕機も作っておくべきかもしれないな。
なんて思いながら改めて進み始めるがいつのまにか右側の壁は水路の向こう側になっていた。
仕方なく左側の壁と水路に挟まれるように道を進んで行くが、途中でほんの僅かな距離だがコレオちゃん一匹ずつでしか通れないような狭い場所にぶつかってしまう。
しかもその先は左への曲道と正面に続く道の分かれ道になっており、どちらに進むべきか少し迷う。
……ただ左側の道を目を凝らして見通してみると先の方で見覚えのある空間に繋がっているのが分かった。
それでも念のため確認しておこうと、左の壁に沿うようにして進んでみたところ、果たして先ほどゴーレムの居た空間に戻ったではないか。
どうやら今度の分かれ道は同じ場所に繋がっていたようだ。
考えようによってはこっちの道を進んで行けば少しだけ近道が出来ていたことになりそうだが、遠回りしたからこそ先ほどのカプセルを手に入れられたのだから良しとし……いやあの中身だったら近道できた方が……ま、マッピングが完璧になったと思っておこう。
五百七十七頁目
改めて先ほどの道に戻り左側の壁と水路に沿うように先へと進むが、途中で道にほんの僅かに隙間が空いているではないか。
生身なら飛び移るのに苦労しそうな隙間だが、コレオちゃんならば助走をつけなくても飛び越えられそうだ。
しかも下に落ちても水の中に飛び込む形になるだけであり、しかも先の方を見通せばやはり這い上がれそうな場所があるではないか。
やっぱりジャンプ抜きでも攻略できるようになっているところにARK設計者のほんの僅かな温情を感じつつ、それでもわざわざ水中を泳ぐ必要はないため普通に飛び越えて進んで行く。
するとまたしても壁に囲まれた狭い道が現れて来て、並んで通れそうもないので一列になって進んで行くと、先に道を抜けたらしいコレオちゃん達がいきなり物騒な物音を立て始めた。
どうやらこの道の先にまた広い空間があるようで、かなりの数の動物に群がられて苦労しているようだ。
取りあえず自分の地点からでも時折見える空を飛んでいる蝙蝠を矢で射抜いて援護しながら前へ前へと進んで行く。
しかしそこの空間は今までで一番野生動物が沸いているようであり、無数のサソリと蝙蝠にカマキリ、更には狼にサーベルタイガーが道の出口付近を封鎖するように集まっていた。
お陰で一度に戦えるコレオちゃんの数に限りがあり苦戦しているようであったが、それでも何匹かの個体が機転を働かせて壁を蹴るようにしてそいつらを飛び越えていく。
そうして戦える個体が増えていくお陰でサドルを装備していない野生の動物はその脆さもあって、コレオちゃん達の爪によってあっけなく引き裂かれていく。
更に俺も狙える範囲に居る敵個体を射抜いていき、更に隣では同じくソフィアが銃を構え誤射しないようあえて空に浮かんでいる蝙蝠だけを狙って引き金を引いていた。
キャシー達は俺達より後ろにいるせいで流石に攻撃には参加できないようであったが、それでもこれだけの攻勢を前に野生動物達はどんどん倒れていくのだった。
今回名前が出た動物
モレラトプス
ティラコレオ(コレオちゃん)
ラブルゴーレム
オニコニクテリス(蝙蝠)
プルモノスコルピウス(サソリ)
カマキリ
ダイアウルフ
サーベルタイガー