ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第711話

五百七十八頁目

 

 ようやく争いが収まり、何とか俺達も道を抜けて開けた空間へと出ることができた。

 巨大な生き物の骨が目立っているその空間は、道自体は蛇行する下り坂が続いているが視界自体は開けていた。

 お陰で部屋の中に唯一ある進めそうな道もはっきり見えており、その先にあるここより狭いが開けた空間があるのも、向こうに赤色の光源があることもあってはっきりと見て取れた。

 

 そしてあの赤い光源は人工物っぽい輝きであることを思うと恐らくまたカプセル……い、いやあの形状はカプセルじゃないっ!!

 しかしカプセル以外であんな光を放つ物と言えば……ドキドキしながら望遠鏡を取り出し覗き込んだところ、果たしてそこには幾何学的な形をした不思議な物体が宙に浮かんでいるではないか。

 あ、あれはまさしくアーティファクト……なのか?

 

五百七十九頁目

 

 いつもならばアーティファクトはわかりやすい光の波動を放っているのに、今回は持って帰って台座に飾った時の様に仄かに光りながら鎮座している。

 お陰でアレが本当にアーティファクトであるのか自信はないが、遅れて他の皆も同じように自分の望遠鏡を取り出してのぞきこんだところ、ハンスさんがアーティファクトに間違いないと太鼓判を押してくれた。

 ……余り難易度の高そうな洞窟ではないと思っていたが、正直言ってここまであっさりと見つけられるとは思っていなかっただけに拍子抜けしてしまう。

 

 尤も今までの経験からしてアーティファクトを見つけたからと言って油断するのはまだ早い。

 あれを回収するまで……いや回収した後の帰り道で無数の敵に襲われる心配もあるわけで、ちゃんと外に出るまでは警戒を怠らないようにしなければ。

 そう思って気を引き締め直そうとした俺の服をソフィアが引っ張り、アーティファクトの後ろの方にある岩もゴーレムではないかと尋ねてくる。

 

 驚いてもう一度望遠鏡を覗き込んで念入りに観察してみるとアーティファクトの陰に隠れる形で見え辛かったが、確かにゴーレムの擬態していると思わしき岩があるではないか。

 ……なるほど、やっぱり腐ってもARKの洞窟……そう簡単にいくわけないってことか。

 

五百八十頁目

 

 取りあえずアーティファクトのある部屋に続く通路前まで近づいてから改めて状況を確認するが、まるで門番の様にアーティファクトの直ぐ傍にゴーレムは鎮座していた。

 どうやって回収しようとしても間違いなくあいつが反応するであろう距離にだ。

 ……これではどうにかしてあいつを倒すか、或いは別の場所に誘導する方法を考えないとアーティファクトに近づくことも敵わない。

 

 まさか最後の最後でこんなシンプルかつ厄介極まりない罠を用意しているとはやってくれる。

 というかむしろここまで洞窟が比較的単純だったのは、それこそ油断した俺達がゴーレムに気づかずノコノコと入ってくるよう誘っていたのではないかとすら思う。

 そうだとすると意地が悪すぎる気もする……が同じことをARKに来てから一体何度考えたことだろうか。

 

 まあそれはともかくとして、今考えるべきはあのゴーレムへの対処法なわけだが皆と話し合った結果、三つの案が出た。

 一つは純粋に戦いを挑むというもの……高品質サドルとコレオちゃんの出血能力を思えば恐らく一体ぐらいなら倒せるだろう。

 ただ間違いなくゴーレムとの戦闘はそれなりのダメージを負ってしまうだろうし、その上でもしも帰り道で変な湧き方をしたゴーレムとまた戦わざるを得なくなったら果たして連戦に耐えうるかどうか。

 

 また別の方法としては二匹ほどのコレオちゃんを先導出せて戦闘させ、部屋の奥まで誘導したところをサッと回収して逃げ帰るという方法だ。

 この場合は囮に使った個体は失われるが戦力的には余裕を持ったまま帰り道を進めることになる。

 ただ問題はあのアーティファクトのある部屋はパッと見た感じあまり広そうではないので、戦闘の余波に巻き込まれない位置まで誘導することがそもそもできるのかという点だ。

 

 だからこそあえてここは一旦引き返し、改めてTEKレプリケーターを始めとした設備を充実させた上であの硬いゴーレムにも遠距離から一方的にダメージを与えられるロケットランチャーなどを大量生産して一気にぶっ潰すという案も出た。

 しかしこれは流石に慎重すぎる気がするし、何より制作コストを考えるとまた結構な時間が必要になってしまう。

 少しでも早くここの守護者を倒すことでバグを直し犠牲者を減らしたいことを考えると、やっぱりできればここでアーティファクトは回収しておきたいところだが……




今回名前が出た動物

ラブルゴーレム(ゴーレム)
ティラコレオ(コレオちゃん)
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