ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第713話

五百八十三頁目

 

 キャシーが回収したアーティファクトをそのまま荷物にしまい込むのをルゥちゃんは物欲しげに見つめ続けていた。

 本来はオベリスクにはめ込むまで使い道もないので別にルゥちゃんの玩具にしておいても良いのだが洞窟から出るまでに落とされたら今までの苦労がパーになる。

 なので外に出るまではキャシーに持っておいてもらうことにしたのだ。

 

 そうして再び入った時と同じ並びになって進んで行くが、果たして帰り道には倒したはずの野生動物が……ほんの少しだけ湧いていた。

 どうも小型のゴーレムとの戦闘で時間を喰ったせいで自然発生したようだ。

 ……あんまりあっさりとアーティファクトが手に入ったもんだから、てっきり帰り道にこそ無数の敵が湧いていて消耗戦を強いられるのではと少し警戒していたのだがどうやら杞憂であった様だ。

 

 どうやら本当にこの洞窟の難易度は低めだったようだが、これではあまりに順調すぎて逆に皆には洞窟の恐ろしさが分かって貰えないような気さえする。

 俺が初めて洞窟に入った時は毒ガスで、またフローラの場合は病気でそれぞれ痛い目を見て、洞窟には軽い気持ちで入ってはいけないのだとはっきり認識することができたのだから。

 尤もだからと言ってトラブルが起きて欲しいわけではないので、もちろん道中で倒さずに来た小型のゴーレムにわざわざ喧嘩を売るような真似をしたりは……って言ってる傍からソフィアがあの個体を使って実験してみないかとか言ってきてるぞ?

 

五百八十四頁目

 

 一瞬、帰り道で気が緩んだソフィアがあのゴーレムの捕獲でも試みようとしているのかと思った。

 しかし話を聞いてみると予想以上にしっかりした理由であった。

 何でも外の個体とこの個体がサイズ以外全く同じ存在であるかどうか……特にどこまで近づいたら擬態を解除して襲ってくるのか、その距離について調べたておきたいというのだ。

 

 言われてみれば確かに外に居るのと同じ動物であっても洞窟の中に居る個体は仲間にできなかったり以上に頑丈だったりと差異が細かい違いがあることは少なくない。

 ならばあのゴーレムも同じ可能性は十分あるわけで、また擬態して動かない存在なだけに反応する距離を把握しておければ攻略はかなり有利になる。

 そしてそれらの検証は野生動物も殆ど一掃済みで比較的危険の少ない今ここでやっておくべきだろう。

 

 一旦壁際を通って反応させないようにして通り過ぎ、改めて帰り道を背中に向けた状態で擬態しているゴーレムと向き合う。

 こうすることで万が一あのゴーレムが大暴れしてもコレオちゃん達を何匹か囮にして俺達人間は外へ逃げることができるからだ。

 もちろん通路の安全も確認しておき問題ないと判断したところで早速検証に移るのだった。




今回名前が出た動物

ラブルゴーレム(小型のゴーレム)
ティラコレオ(コレオちゃん)
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