ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第716話

五百八十九頁目

 

 元々余り動物の扱いが上手くなかったハンスさんも前に練習してからはだんだんマシになってきている。

 俺の知らないところでも時折キャシーに教わったりと自主練習もしていたらしく、今では地上の生き物だろうとアルケンなどの飛行生物だろうと移動する分にはふら付くこともない。

 ただ動物ごとの特殊能力の使いこなしに関してはまだまだ難しいらしく、アルケンでも余り小柄な生き物を掴むのには苦戦してしまうようだ。

 

 尤もコレオちゃんぐらいのサイズならそこまで難しくはないだろうが、それでも何往復もして洞窟前の拠点に居る二桁数のコレオちゃん達全てを豚が居る拠点まで運搬するのは時間が掛かるだろう。

 だから一度で済ませられるよう逆に餌をたくさん持たせた豚の方をあっちへ連れていくことにした。

 そうして拠点内で能力を使いよう指示を出して、実際にコレオちゃん達の傷が目に見えて癒えていくのを確認したところで改めてTEK牧場へ向かう……前にふとあることを思い出す。

 

 前の島で俺は何度も洞窟を往復したから知っているが、一度こうして人間が外に出ればその時点でアーティファクトは復活している。

 それに対して動物の湧く速度はそう変化しないため、回収した直後にもう一度潜ると比較的安全かつスムーズに同じアーティファクトを回収できるのだ。

 オベリスクを数回起動させるために予備のアーティファクトを何度も集めることになった際にお世話になったやり方だが、この砂漠においても同じ仕様になっているのだろうか?

 

五百九十頁目

 

 サボテンスープの効能を試す意味も兼ねて、俺はあえてハンスさんに事情を説明してもう一度洞窟に入ってみてもいいか聞いてみることにした。

 比較的傷の浅いコレオちゃん達が四匹ほどいるため、この子達とオオトカゲを連れて行けば無理して深いところまで行かない限り安全に出入りできるはずだからだ。

 俺の意見を聞いたハンスさんは少しばかり戸惑っていたが、余り深く潜らないのならばと引き受けてくれた。

 

 そうして俺達が再び洞窟内へと潜っていくと、思った通りというか野生動物の気配は殆どなく、初めて蝙蝠を見かけた水路で道が分かれている場所も空っぽのままであった。

 元々帰り道の時点でも殆ど野生動物が湧いていなかったし、どうやらこの洞窟内において野生動物が湧く頻度は余り高くないようだ。

 これなら後はアーティファクトさえちゃんと復活しているのならば何度も出入りしてアーティファクトの予備を回収するのも難しくはなさそうだ。

 

 そんなことを考えている俺を他所にハンスさんは乗って来たコレオちゃんの手綱を強く握ると、しっかりと助走をつけて水路の向こう際へ飛び移ろうとしていた。

 ……そういえばハンスさんだけここで飛び移るのに失敗して水の中に落ちたんだっけ。

 ひょっとして意外と気にしてて、だからこそ練習したいとも思っていたから洞窟に入ってくれたってのもあるのかな?




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
ティラコレオ(コレオちゃん)
ダエオドン(豚)
メガラニア(オオトカゲ)
オニコニクテリス(蝙蝠)
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