ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第717話

五百九十一頁目

 

 どうやらサボテンスープの効能は確かなようだ。

 もう少し進んだ先の通路に単独で佇んでいた蜘蛛を見つけた俺は万が一の際に備えてハンスさんに武器を構えておいてもらいつつ、自分はサボテンスープを飲んだ上で音を立てないよう匍匐前進で近づいてみたのだ。

 すると何とか手を伸ばせば向こうの身体に届くところまで近づくことができて、せっかくなので持っていた生肉を口元に近づけてみたところ食べさせることができてしまった。

 

 幾ら何でも餌を渡されてなおこちらを意識しないのは普通ではなく、何かしらの効果を受けているからのはずだ。

 しかしギリースーツも防虫剤もない現状を考えるとやっぱりこれはサボテンスープの効果なのだろう。

 実際に今度はサボテンスープを飲んでいないハンスさんにも同じように匍匐前進で近づいてみてもらったところ、途中で気づかれて敵対されてしまった。

 

 こうなるともう餌を手渡ししても食べてくれるはずもなく、仕方なく持っていたアサルトライフルでハチの巣にしてやった。

 ……あのまま餌を与え続けたら仲間にできたかもしれないけれど、まあ別に蜘蛛はそこまで使い道があるわけじゃないし、それよりサボテンスープの効果をしっかり確認できたことで良しとしよう。

 

五百九十二頁目

 

 幾ら野生動物の数が少ないとはいえ洞窟は洞窟……二人でかつこの戦力で進むのはリスクが高い。

 また別に今の時点ではアーティファクトが複数欲しいわけでもない。

 だから検証が済んだ時点で俺達はあっさりと引き返すことにした。

 

 連れ出した子達を豚の居る拠点に戻しアルケンに乗り換えて今度はTEK牧場へと移動する。

 そしてエアコンが設置されている一階の孵化部屋に入ると幾つもの無精卵が転がり、その隙間を縫うように大小さまざまな二桁ものTEKラプトルが所狭しと動き回っていた。

 生まれた個体の中の雌をどんどん繁殖用に回していったためにどんどん一度に生まれる数が増えて行っているためだ。

 

 結構大きめに作っておいたのだがこの調子だとそう遠くないうちに増築する必要が出てくるかもしれない。

 そんなことを考えつつ、まず無精卵を回収して回ると次いで生まれたばかりで餌箱から餌を食べられなそうな子には餌を与えて回る。

 それらが終わると今度は成長しきった個体から雄雌を分けると門を開き、他の子が逃げ出さないよう注意しつつ外へと連れ出していく。

 

 そうして雌は二階の繁殖場へ連れて行き上手く雄と絡めながらも卵が一階に落ちるような位置に待機するよう指示を出す。

 ……しかし前の島でもそうだったが二階から落ちても割れない頑丈な卵なのに人間が料理とかで使おうと手でやるとあっさり割れるのは一体どういう仕組みなのだろうか?

 まあ考えても仕方がないしこちらにとって便利なことだからあえて深く考えはしないが、やはりこのARKは自然そうに見えて細かく見ると不自然な点が多いようだ。

 

 それはともかくとして最後に俺達は残った雄個体を少し離れたところまで連れて行ったところで、一旦冷蔵庫に保管してあった霜降り肉などをお腹いっぱい食べさせてやった。

 しょせんただの自己満足かもしれないが美味しそうに食べているTEK個体の様子を見守り、それが終わったところでカルノン達に協力してもらい解体作業に移る。

 この時、余り牧場に近すぎるとこの子達の悲鳴を聞いた他のTEK個体がパニックを起こして暴れ始めエアコンなどの設備を破壊する危険があるのだ。

 

 だからこうして引き離したところで仲間の肉食の力も借りて短時間で……出来る限り苦しまないよう処理した上で一部をお墓に埋葬し拝みつつ素材を頂くのだ。




今回名前が出た動物

アラネオモーフス(蜘蛛)
ダエオドン(豚)
アルゲンダヴィス(アルケン)
TEKユタラプトル
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