五百九十三頁目
TEK牧場のお陰もあって、もはや原油ポンプを頻繁に巡らなくても原油の備蓄は着々と溜まっていた。
また一緒に取れる電子基板も溜まってきているし、鉄くずは工業炉に突っ込むことで金属のインゴットの代用品に生まれ変わることができる。
もちろん一番大事なエレメントダストも溜まってきており、そろそろエレメントを精製することが可能な量に達する……らしい。
はっきりと断言できないのはハンスさん以外に作ることができないためだ。
何せエレメントの生成方法はハンスさんが生きていた頃の知識からくるものであり、インプラントを見ても思いつくことができないのだ。
材料が揃っているにもかかわらず思い付けないのは恐らく地球を宣した物質そのものなだけに危険だから制限されているのか、それとも他の理由があるのかは判断できない。
……ただインプラントを見つめて考えると普通に思い付けない染料や石鹸のようなものと違う複雑な反応がある。
だからひょっとしたらサバイバル能力が上がると開けるようになったカプセルの様に、何かしらの条件を満たせば思い付けるようになるのかもしれない。
五百九十四頁目
緑のオベリスクがある拠点に戻る道すがら、テンションが上がっている様子のハンスさんが何度も話しかけてきた。
どうやらエレメントを作れるようになったのがよほど嬉しいようだが、それにしても喜びすぎな気がした。
一体全体どうしたことかと思っていたが、これで良いところを見せれると呟いた彼の言葉を聞いて何となく理解できたような気がした。
先ほどの洞窟の一件と言い、ハンスさんは多分キャシー……仲間の誰かに格好いいところ、というか自分が役に立つところを見せたいのだろう。
個人的にはクラフト関連で非情に頼りになってくれていると思っているのだが、地味な作業過ぎるためかハンスさん的にはもっとわかりやすい功績が欲しいようだ。
……そういえば前にハンスさんしか作れないモンスターボール擬きを作った時も同じぐらいテンションが上がっていた。
尤もあれも結局は動かなくて面目躍如どころか恥をかいたような形になってしまったから今度こそとばかりにエレメント造りに拘っているのかもしれない。
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緑のオベリスクがある拠点に戻ると少し近いところをTEKティラノが歩いていた。
恐らくは前に外周部の砂漠で見かけた個体だろう。
何だかんだで捕獲をする暇がなく後回しになっていたがここまで近いならパララ君用に作った捕獲用の罠に嵌めるのも難しくなさそうだ。
せっかくの機会だしこのまま捕獲を……と思うまでもなく、よく見ればTEKティラノはアルケンに乗っているキャシー達によって誘導されているではないか。
どうやら水浴びが終わった後で無駄に時間を使うのもどうかと思い、自分達で考えて行動していたのだろう。
……俺抜きで大型肉食の捕獲がどこまでできるか、ちょっと見守っていようかな?
今回名前が出た動物
TEKティラノサウルス