五百九十八頁目
拠点に戻った俺達はエレメントを安全に保管するため旋盤で金庫を作った。
万が一にも失わないため……というのは口実であり、俺個人としては他の生存者をこのエレメントによる影響を受けないよう厳重に仕舞い込んでおきたかったのだ。
尤もみんなの様子を見る限り心配しすぎな気がしないでもない。
ただ唯一眠っていてエレメントを見ていないルゥちゃんは幼さもある上に未来製品に興味をひかれているようだし、何よりエレメントダストで作ったドリンクを好んでいたこともあり結構不安である。
しかしそれも暗号付きの金庫に仕舞ってしまえば、番号を知っている俺達しか開けられないのだから問題ないはずなのだ。
……できればルゥちゃんの目につかなそうな場所に金庫を配置できれば更に完璧だったのだが、必要量が溜まり次第エレメントを活用したがっているハンスさんに反対されてしまった。
金庫は大量に物資が入ることもあって近くにあれば便利に利用できるのも事実なのでその通りにしたが、やっぱり目に付くところにエレメントが収まっている金庫があるとどうにも落ち着かない。
まあ他の皆がそこまで気にしてなさそうなところを見ると俺が心配性すぎるだけのようだ。
実際のところルゥちゃんが何かの間違いでエレメントに惹かれたとしても常に一緒に居るオウ・ホウさんが警告してくれるはずなのだから。
……尊敬していたロックウェル氏もああなってしまい、何より俺自身が誘惑されかけた経験があるせいで過剰に警戒してしまっているのだろう。
五百九十九頁目
TEKティラノが起きたところでキャシーはハンスさんに作って貰ったサドルを嬉々として取り付けると、物凄く嬉しそうに乗り回し始めた。
何度も何度も咆哮させたかと思うと、軽く拠点の周りをうろついては刺サソリや狼などを蹴散らしてその強さを堪能していた。
かつて初めてティラノを仲間にしたときの俺やフローラと同じことをしている様はやっぱり面白かったが、それ以上に次は自分の番だと主張して飛び跳ねているソフィアとハンスさんのやり取りも面白かった。
ただ余り咆哮させ過ぎてその煩さでルゥちゃんが起きてしまい一転して反省大会みたいになったのはご愛敬だろう。
俺はそんな皆を尻目に素材の在庫を数えながら何か新しい物が作れないか考えていた。
先ほどの洞窟探索で大量に狩った動物から採取したキチンケラチン質の素材に加え、小型のゴーレムから取れた金属鉱石やTEKラプトルから取れた鉄くずも工業炉でインゴットに生まれ変わっていることもあり、これならば金属の材料で拠点を作ることだって可能だろう。
それはつまり後回しにしていたゴーレム用の捕獲罠も作れるということだ。
あいつは身体が大きすぎて使いどころは限られているけれどあの頑丈さならばボス対策には役立ちそうだ。
そしてボスと戦うためのアーティファクトも手に入りつつある現状を思えば、いい加減手を付けても良い頃だろう。
今回名前が出た動物
TEKティラノサウルス
ロックエレメンタル(ゴーレム)