ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第729話

六百十五頁目

 

 二つ目の洞窟は自作した地図で言うところのおおよそ真ん中あたりにある。

 そして緑のオベリスクの傍にある拠点からそこへ向かう途中には大体の人間が最初に目を覚ますエリアの近くを通る。

 つまりそこを徘徊している人を見かける可能性は十分あるわけで、ましてそれが巨大な移動拠点となれば見落とす方が難しい。

 

 しかしまさかこんなタイミングでモーリツさんに譲ったパララ君二号を見かけるとは思わなかった。

 尤もペイントを施されてパッと見の印象は変わっていたから最初は別の誰かが移動拠点を作り上げるまでに至ったのかと驚いてしまった。

 そのために詳細を確認しようと近づいたところで向こうにもこちらの存在に気づかれてしまったようだ。

 

 パララ君二号の背中にある拠点の屋上に登ってきたモーリツさんは望遠鏡で俺達の存在を確認するとヤレヤレとばかりに肩をすくめながら手を振ってくる。

 どうやら向こう側も俺たち以外の誰かが飛行生物を運用するまでに至った上でちょっかいを掛けに近づいてきたのではと不安を抱いたようだ……余計な心配をかけて何だか申し訳ない。

 ……しかしモーリツさんが屋上にいるにも関わらずノソノソとパララ君二号が動き続けているところを見ると操縦は他の誰かに任せているようだが、ひょっとしてついに彼も誰かとトライブを組んだのだろうか?

 

六百十六頁目

 

 洞窟のお土産もまだ渡していない上に少し気になることもあり、またせっかく顔を合わせたのだから一旦軽く交流してみることにした。

 無線で着陸許可を得た上でモーリツさんの居る移動拠点の屋上へ降り立つ。

 ソフィアとルゥちゃんもまた一緒にモーリツさんの前に立つと、自然と軽い自己紹介が始まった。

 

 ソフィアは無線越しに会話したことがあれどこうしてモーリツさんと顔を合わせるのはルゥちゃん共々初めてなのだ。

 果たしてモーリツさんは相変わらずどこか胡散臭げな笑みを浮かべながら丁寧な口調で答えて見せる。

 ……だけど何というか俺と対面した時と比べてどこか親し気に感じるのは気のせいだろうか?

 

 それこそ幼いルゥちゃん相手にはわざわざ屈んで視線を合わせて見せたり、ソフィアに対しても一瞬相手の姿が視界から外れるにも構わず深々とお辞儀をして見せているほどだ。

 初対面だった時の俺やキャシーに対しては決してこんなどこか無防備な姿を見せようとはしなかったはずなのだが……まあこれまでの交流で少しは俺達のトライブを信頼してもらえたということなのだろうか?

 そんな向こうの丁寧な対応にソフィアは恐縮しているのか軽く目を見開くと、慌てて佇まいを直すと優雅に返礼し直し始めた。

 

 ……その姿は妙に様になっているように見えたけれど、もしかしてソフィアって結構良いところのお嬢様だったりするのかな?




今回名前が出た動物

パラケラテリウム(パララ君二号)


申し訳ありません、ちょっと厄介な用事が出来てしまいました。
大体二週間~一か月ほど投稿できなくなると思います。
書き溜め自体はありますので用事が終わり次第また毎日投稿に戻ります。
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