六百十八頁目
意外な展開に思わず俺とソフィアは顔を見合わせてしまう。
まさかこの後で俺達が洞窟へ赴くと知ったモーリツさんが同行を申し出てくるだなんて。
自分の身を第一に考えている彼ならば洞窟攻略などの危険な作業は他の誰かに任せるものだとばかり思っていた。
当の本人曰く、アーティファクトなどと言うお宝が手に入る場所など冒険者としての血が騒いで見過ごせるものではないとのことだが……何だか久しぶりに物凄く胡散臭さを感じいる。
ただこれまでの交流でいきなり裏切って後ろから刺してくるような人だとは思えないし、もっと言えば俺達の今の時点では一番繫栄しているトライブを敵に回すような不利益が大きすぎる真似をするとも思えない。
……だからこそ余計に何を企んでいるのかわからなくて困惑するのだが、どうせ俺が軽く考えた程度でモーリツさんの思考を読めるとは思えない。
ならばいっそモーリツさんを連れて行くことの純粋なメリットデメリットだけを考えることにするが……彼の能力的に協力してくれるのならば物凄く頼りになるだろう。
ただ洞窟という準備を万端に済ませてから攻略すべき場所に不確定要素となりうる存在と一緒に向かうのはどうなのかちょっとだけ不安だ。
そう思って同行者であるルゥちゃん……は既にキラキラに関心があることを見抜かれて金属鉱石を巧みに傾けて輝かせてみせているモーリツさんと戯れていたので、その隙に残るソフィアと軽く話し合ってみることにした。
……だけどまあ人を『疑うより信じたい』という思いを抱いている俺達なのだから出る結論なんか最初から決まっていた。
六百十九頁目
一旦モーリツさんはパララ君二号の拠点内に戻り、そこに居る人たちに自分が居ない間も救助活動を続けるよう頼み、何かあった時用に無線まで置いていくことにした。
その際に俺達のことを紹介するか少し考えたようだが、結構人数が居るので無駄に時間をくいかねないので今回は見送ることにした。
そうした上で再び屋上に戻ってきたモーリツさんはいつぞやの様に太陽へ向けて口笛を吹くとバサバザと羽音を立てながらアルケンの同種が下りてきた。
いつの間にアルケンまで仲間にしたのかとびっくりするが、どうも俺達がこの大鷲を頻繁に運用しているのを見て有益だと判断してどこぞで捕獲してきたようだ。
尤もアルケンの生息地近くには頻繁にゴーレムが居ることもあり、物凄く面倒なことになったらしくこの一体を仲間にするのが精々であり、当面は近づきたくもないと愚痴っていた。
……まあそれがどこまで本心なのかはわからないけれど、アルケンまで自力で仲間にできるこの人は敵に回したくないと改めて思い知らされる。
そんなモーリツさんだが洞窟に行くまでの間にソフィアから三国志などの物語について幾つも話を振られて、最初こそはいつも通りの胡散臭げな笑みを浮かべながら対応していたが、いつ終わるとも知れないソフィアのマシンガントークのせいで途中から珍しく困惑した様子でチラチラと俺に助けを求めるように視線を向けて来ていて……ちょっとだけ面白かったのは秘密だ。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君二号)
アルゲンダヴィス(アルケン)
ロックエレメンタル(ゴーレム)