六百二十二頁目
サボテンスープのお陰で熱問題も一応解決したため、改めて緩い下り坂となっている道を慎重に進んで行く。
すると今度は外の光が差し込まなくなったためかだんだん辺りが薄暗くなってくる。
一応目を凝らせば微かに周りの状態が分かる状態であったが足を滑らせたりしたら一大事だ。
だから少し暑くなるのは覚悟の上で松明を灯してしっかり光源を確保しておくことにした。
果たしてそのお陰ですぐ目の前にある道が二股の分かれ道になっていることに気づくことができた。
もしもあの薄暗いまま壁越しに進んでいたら或いは気づかずに迷子になっていたかもしれない。
そんなことを思いつつ前の洞窟の時と同じように帰り道が分かるよう篝火を立ててからどちらに進むか一瞬頭を悩ませる。
右か左か、どちらも壁伝いに進めば致命的に迷うことはないはずなので後はどっちを選ぶかだ。
勝手に決めてもいいけれどせっかくなので皆に相談して決めようと声を掛けるが、ソフィアもモーリツさんも右の道を覗き込んでいた。
彼らの視線を追って行けば右の壁の上の方に蜘蛛の糸がべたべたとへばり付いているではないか。
多分洞窟でよく見かけるあの蜘蛛が生息しているのだろう……と言うことは蝙蝠やムカデとかの洞窟ご当地セット共も居そうだなぁ。
六百二十三頁目
洞窟においてアーティファクトへと通じる道は複数あることもままあった。
だからあえて野生洞窟が居そうな道を率先して選ばなくても進める可能性はあるわけで、俺達は左の道を進むことにした。
かなり広くなっている道を壁に沿うように進んで行くと黒曜石の塊が現れてきた。
もう俺達にとっては見慣れた資源であるがモーリツさんにとっては希少な資源に映ったようで帰りに余裕があれば回収してもいいかと尋ねてくる。
今すぐ回収しては荷物になり動きが鈍りかねないからこそ帰りになのだろう。
もちろん何の問題もないので頷いて見せるとモーリツさんは感謝の言葉を述べると、すぐに視線を黒曜石から外して前に戻した。
……あの調子だと初めて見た素材かもしれないのに執着せずすぐに気持ちを切り替えられるのは流石だなぁ。
六百二十四頁目
黒曜石の塊を過ぎたところの壁にまたしても蜘蛛の糸がへばり付いていた。
どうやらどの道を進もうとも野生動物との対決は避けられそうにない。
まあ洞窟内で野生動物に襲われなかったことなど一度もないのだから当然なのだが……なんて思っていると不意に目の前の足場が途切れたではないか。
正確には這い上がれない程の段差があり、その下には別の道が続いている。
また周囲を見回してみると自分達の居るところの直ぐ近くから向かい側へ向けて足場が橋の様に突き出ている箇所がある。
下に落ちてもこのまま橋を通っても先に進むことができる……なんか前の洞窟でも似たような箇所があった気がする。
確かあの時はこのまま進むルートでは同じ場所をループして下の道が正しかったはずだ。
そう思いながらも取りあえずこのまま進んでみようと橋の方を渡ってみると途中で足場が少しだけ途切れていた。
尤もジャンプするまでもなくコレオちゃんの歩幅ならそのまま渡れそうであった。
それでも落ちないよう慎重に、それこそ頭上から蝙蝠などに襲撃されないよう辺りを見回しながら進んだところふと右側の道の先でチラチラと不定期に揺らめく輝きが見えた気がした。
……あれは松明とか篝火の発する輝きによく似ている気がするが……というかあっちの方角って俺達が来た方のはずで、となるとあの光源の正体は……
今回名前が出た動物
アラネオモーフス(蜘蛛)
オニコニクテリス(蝙蝠)
アースロプレウラ(ムカデ)