六百四十二頁目
お宝を目の当たりにしたこともあってか、モーリツさんは少しだけ興奮した様子でありながらもあれがアーティファクトなのかまずは確認してきた。
そして俺が肯定するとやはりとばかりに頷いて再びアーティファクトへ視線を戻した。
……まるでティラノを初めて目の当たりにしたときのキャシーみたいだ。
それこそ今すぐにでも手に入れに行きたがっているように見えるが、それでも俺が見るものも見たしそろそろ引き返そうと提案を口にするとあっさり受け入れてくれた。
そうして肩を並べて来た道を戻るモーリツさんはもういつもの調子を戻したかのように見えたが、例の人骨のところまで戻ったところでふと思い出した。
……そういえばモーリツさん帰りに黒曜石とか回収していきたいって言っていたはずなのに、さっきの塊をどうして採取しなかったのだろうか?
まああの場所で回収するのは危険だと判断してもっと安全そうな最初に見た場所で採取するつもりなのかもしれないが、もしかしたらまだアーティファクトに心を奪われていてちょっとだけ冷静さを取り戻しきれていないような気もする。
果たしてモーリツさんはソフィア達のところに付くまでの間、まるで何かを真剣に考えこんでいるかのように無言のままであった。
尤も合流したソフィアが心配そうに大丈夫か声を掛けると、今度こそいつも通りの対応に戻ってしまうのだった。
六百四十三頁目
ここまでの道のりに複雑な箇所はなく、コレオちゃん軍団と合流できた時点で帰路の安全は保障されたも同然だ。
それでも念のため来た時と同じように警戒しながら進みつつ、隙間の先で見つけた情報をソフィア達にも共有していく。
人骨の件は話すかどうか一瞬悩んだが、何れこの洞窟を攻略する際には目の当たりにすることになる。
だからモーリツさんと話し合った内容以外の全てを伝えていく。
果たしてお墓と人骨のことを聞いたときソフィアは何とも悲し気に顔を歪めてみせたが、意外にもルゥちゃんも何か意味深に顔を持ち上げてこちらを見ていた。
……ルゥちゃんは動物に捧げられる生贄として育てられていた巫女みたいな存在らしいけれど、或いはその役目を追った人達はこういうところに遺骨を埋葬されていたのだろうか?
まあたどたどしくしか喋れないルゥちゃんには昔のことも含めて余り話を聞けないから俺の勝手な想像でしかないのだが。
……いずれこの子が大きくなったら話を聞けるようになるかもしれないけれど、その時に俺は傍に居るのだろうか?
六百四十四頁目
隙間の中で見つけた日記を渡されたソフィアは嬉しそうにしていたが著者を確認したところで何とも言えない表情になった。
尤も次いで新たに見つけた絵画について話すと興味津々とばかりに食いついて来た。
更には口で説明するだけでは分からないところもあるからとメモ帳に覚えている範囲でスケッチしてみてくれとまで言われてしまう。
しかし記憶を頼りに絵を再現するなど絵心の無い俺には難しい。
だから優秀なモーリツさんに助けを求めるよう視線を向けてみる……と、さりげなくサッと顔を背けてきた。
……これはまたテンションの上がっているソフィアに絡まれるのを避けるためなのか、それともまさかとは思うけどモーリツさんも絵が苦手だったりするんだろうか?
結局次にあそこを探索に行く際はソフィアも一緒に、という約束することで何とか許してもらえたのだった。
今回名前が出た動物
ティラノサウルス
ティラコレオ(コレオちゃん軍団)