六百五十頁目
工業用とは言っても火にさえ気を付ければ使い方自体は調理なべとそう変わるものではない。
だからガスコンロなどの存在すら知らないソフィア達でもあっさりと使い方を覚えることができた。
まあその際に実演も兼ねてサボテンスープの材料を大量に突っ込んでおいたので、後は放っておいてもどんどんサボテンスープは出来上がっていくだろう。
そして設置場所も考えられていたようで近くにある建材は全て燃えない岩の建材に作り替えられていたため、これなら目を離しても火事になる心配はないだろう。
そう思い次の作業に移ろうと部屋を離れたところ、ソフィアが読み終えた日記を渡してきた。
モーリツさんの反応から大したことは書かれていないと思っていたが実際にソフィアも目新しい情報は何もなかったと告げてくる。
それなら読むのは後回しにしてもいいのだがせっかくなので目を通しておくことにした。
……確かに目新しい情報はなかったが、それはあくまでも俺達にとってはの話。
日記にはロックウェル氏が井戸のあるトライブに合流したという内容が書かれていた。
ただ同時にARKについて知った情報を整理しようとしているかのようにここが星の間を漂っていることと、そのための動力として素晴らしい金属鉱石……すなわちエレメントが使われているのではと記されていたのだ。
ARK関連の情報はモーリツさんにも教えてあるがその動力にしてある意味で全ての元凶であるエレメントについてちゃんと話したことはなかったはずだ。
そんなモーリツさんにしてみればこのエレメントに関する記述は物凄く興味を惹かれてもおかしくないと思うのだが……?
……或いは別れ際の言葉はこのエレメントも含めた『お宝』を俺達に邪魔されず手に入れたいという意味だったのだろうか?
六百五十一頁目
どうもソフィアはこの日記がモーリツさんに読まれている可能性を失念しているようだ。
しかしその情報を共有する前に外からズシンズシンという物音と共に地震のような振動が伝わってきたではないか。
一体何事かと慌てて外に飛び出してみれば、離れたところから幾つもの巨体が並んで歩いてきていた。
先頭に居るのは金属質な拠点を背負ったパララ君であり、その後ろからはゴーレムが三体も付いて来ている。
しかもゴーレムのうち二体はサドルが付いているが何故か全身にひびが入っており、瀕死に近い重傷を負っているように見えた。
……あの恐ろしい戦闘力を持っているゴーレムが二体もあんな状態になるだなんて、一体どれだけ激しい戦闘が繰り広げられたんだ?
気になるのはそれだけではなく恐らくは金属の建材で作ったであろう移動拠点を背負っているパララ君もだ。
元々俺達が捕まえて利用しているパララ君はこの拠点内に残っている。
つまりアレは他のトライブに所属しているパララ君か、或いはキャシー達が新たに仲間にして作り上げた存在のはずだ。
……尤も金属の建材をあれほど用意するには工業炉はほぼ不可欠であり、そこまで文明が発展しているトライブはまだ俺たち以外にはいないはずだ。
拠点内からごっそり減っていた素材のことも併せて考えると、アレは十中八九キャシー達の仕業であろう。
ただ万が一のことを思うと……本当にないとは思うけれど別トライブの奴らがゴーレムで奇襲をかけてきている可能性もあるので迎撃する準備だけはしておこう。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)
ロックエレメンタル(ゴーレム)