ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第75話

二百二十八頁目

 

 耳に聞こえる水音に物凄くドキドキしながら、俺は拠点の中をせわしなくうろついていた。

 水道をひいたことで水を無尽蔵に使えるようになったフローラは、すぐにシャワールームを作り水浴びを始めたのだ。

 やっぱり女の子だけあって全身汚れている状態はかなりきつかったようだ……だけど川や海には危険な生き物がウジャウジャいるから今まで我慢していたのだという。

 

 しかしすぐ近くで女の子がシャワーを浴びている状況なんか生まれて初めて過ぎて、訳も分からぬ興奮が収まらない。

 せめて狩りにでも言って気持ちを紛らわしたいけれど、フローラに護衛するようにと言い含められてしまっているから動くことも出来ない。

 だから結局室内をウロウロと歩くことしかできないのだけれど、しばらくしてようやくフローラが顔を出し交代だと言ってくれた……わらと繊維で作った簡易な布のバスタオル一枚を身体に巻いた状態で。

 

 元々かなり整った顔立ちをしていた子なだけに、汚れを落とした姿はまるで天使のように美しくて……俺は直視しないよう必死で視線を落としてシャワー室に入ると、冷水を頭から浴び続けるのだった。

 

 

二百二十九頁目

 

 シャワーを浴びると自分がどれだけ汚れていたかはっきりわかり、何よりさっぱりとした気分を取り戻すことができた。

 何処か爽快感を抱きながら外に出ると、すぐ脇に綺麗に折りたたまさった新品の布の服……しかも何やらお洒落な色が付いているのがあった。

 それに着替えながらフローラを探してみると、拠点の外にもう一つこじんまりとした木材とわらで作った家が出来上がっていた。

 

 わざわざ新しい家を作った理由を聞いてみると、あっちの家は汚れた状態で出入りしていたし製錬炉などもあって手狭だから作業所にしておいて、こっちを居住区にしようというのだ。

 そしてわらの床の上に新品のベッドを敷くと、その中に横になると俺を手招きして誘ってくるのだ。

 真昼間にシャワーを浴びて程よい気温の中、可愛い女の子とお昼寝する……そんな誘惑に耐えられるほど俺は強くなかった。

 

 だからフローラの隣に横になって、物凄く綺麗になっている彼女の顔と髪の毛にドキドキしながらそっと目を閉じるのだった。

 

二百三十頁目

 

 予想以上にさっぱりしたこととフローラが作った家が心地良くてぐっすり寝ていた俺たちだが、ちょうど昼飯時にお腹が減って二人同時に目を覚ました。

 意外に現金な自分のお腹に笑いながらも水で手を洗い、昼食をとり作業を再開……しようとしたところで便意が湧いてきた。

 今までは所かまわず垂れ流しに近い状態で、フローラが来てからは我慢していたがボリュームのある手料理を食べ続けてきたせいかそろそろ限界のようだ。

 

 しかしまさかフローラの前で垂れ流すわけにはいかないし、かといってこの辺りには危険な動物が多いから近くの草むらで済ますのも危険だ。

 だから左手の鉱石を見てトイレの作り方を考えて……水道と繋げば行けそうな気がしてきた。

 材料は石と木材と金属鉱石を組み合わせて土台を作り、セメントと水晶で接合部を補強して完成だ。

 

 ついでに下に付けたタンクにも色々と工夫を凝らしてあり、多分水を流せばここに溜まって堆肥のようになる……はずだ。

 まあとにかく水道とくっ付けなければ始まらないと思い、どこか付ける場所をとフローラに相談してみると、彼女はトイレを見るなり顔を真っ赤にしながら部屋を作っておくからもう一つ作ってくれと懇願してきた。

 ……どうも彼女も俺の前でしたくなくて我慢していたらしい……もっと早く気づいてあげればよかった……本当に俺は女の子が居るというのにデリカシーが足りなすぎる。

 

 他にも何か彼女の為になりそうなものを……お洒落とか身の回りのことで気遣えるよう考えなければと思いながら彼女用のトイレを作るのだった。

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