ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第751話

六百五十九頁目

 

 洞窟内の道中にある壁に彫り込まれた意味深な絵画にはキャシーも気になっている様子であったが、時間的余裕がないことを理解しているからか足を止めたりはしなかった。

 それでも防護柵を展開してコレオちゃん達の幼体とその護衛を配置し、更に入り口付近の空間でコレオちゃん軍団に繁殖の指示を出して回るのに結構な時間が掛かってしまい、洞窟から出た時には周りはかなり薄暗くなってしまっていた。

 一瞬、時間の見積もりが甘かったのかとドキッとしたがよくよく考えるまでもなくここは谷間の中で太陽の光が届きにくい場所であった。

 

 実際に頭上を見上げてみれば細い谷間から弱々しいながらも赤い日差しが僅かに差し込めていて、それを目印に谷間を飛び出してみれば夕焼けに染まった砂漠の大地が目に飛び込んでくる。

 これならば何とかギリギリ太陽が沈むまでに拠点へと戻れそうだ。

 ……尤も間に合わなかったとしても緑のオベリスクという目印があるため谷間の外へ出られれば真っ暗闇の中でも無理やり帰れただろうが、万が一のことを考えると暗闇の中は余り飛びたくはないからな。

 

六百六十頁目

 

 戻ってきたらさらにゴーレムが増えていた……なんてことは流石に無かった。

 ただ代わりとばかりに電灯で照らされた防壁の内側に出かける前はいなかったはずの新しい豚の姿があった。

 拠点内に居ながらも落ち着いている様子から誰かが仲間にした個体だろうと思って近づいてみると思った通りこちらに懐いてくる。

 

 調べてみると繁殖するのに不可欠な雌個体のようであり、どうやら残った誰かが気を効かせて捕獲していてくれたようだ。

 ……アルケンで掴み上げられる動物だから罠のあるこの拠点なら仲間にする難易度は低いとはいえ俺もキャシーも居ないのによくぞまあやり遂げられたものだ。

 何だかんだで一度は洞窟を攻略しているだけあって、みんな着々とサバイバル能力が成長してきているのだと実感させられる。

 

 この調子なら今後は役割分担をもっと柔軟に行えるようになるかもしれない。

 

六百六十一頁目

 

 想像通りあの豚はハンスさんとソフィアが捕まえてくれておいた個体だった。

 二人で大量に消費した素材の補填も兼ねて近くから金属鉱石や水晶などを回収している間に見かけた豚が雌であると見抜き、どちらからともなく捕獲しようという話になったとのことだ。

 二人ともキャシーと共に行ったTEKティラノやゴーレムの捕獲作業で胆力が鍛えられたようで、肉食とはいえあの程度のサイズの動物なら自分達でもやれると自信を持って行ったようだ。

 

 ……確かにそいつらと比べたら小っちゃく感じるけれど豚だって人間並みの大きさをしているのだから普通の人ならば尻込みするところだろうに、本当に度胸が付いたものだ。

 まあ流石にルゥちゃんはお留守番だったようだが、こちらはこちらで科学作業台で火薬やセメントなどを調合していたりする。

 もちろん傍に居るオウ・ホウさんの指示もあってのことだが工業用調理器具の使い方も含めて色んな設備の動かし方を覚えているお陰でお願いすれば一人でもこうして作業を続けてくれるようになっている。

 

 ……初めて出会った時はみんなをフォローして回るので時間を取られて大変だったってのに、あのころに比べると誰も彼も別人のように成長してるなぁ。

 お陰で今では逆に俺の手が足りないところをこんなにも補ってもらえて……やっぱり仲間って良いなぁ。




今回名前が出た動物

ティラコレオ(コレオちゃん)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ダエオドン(豚)
アルゲンダヴィス(アルケン)
TEKティラノサウルス
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