六百六十二頁目
電灯が完成してからも焚火と篝火は拠点内に僅かながら残してある。
発電機が砂などで故障した時に備えての非常用照明にするため、でもあるがルゥちゃんが舞う際の雰囲気作り的な意味合いもある。
不思議な物で夜の闇を晴らすという意味では同じはずなのに電灯よりも揺らめく炎で照らしだされた空間の方が神秘的に感じるのだ。
だから日課になっているルゥちゃんが舞う時は自然と近くの電灯を消して炎の周りに集まるようになっていた。
……何だかんだ効率重視で動いている俺達だが この時間だけは心を休める意味も兼ねてサバイバルのこととは関係のない雑談をしたりどうでもいいことを考えたりして過ごすことも多い。
今回もまたソフィアとキャシーは何か楽しそうに語り合っているし、ハンスさんはそんな二人とルゥちゃんを交互に眺めつつ昼間の疲れからかコクリコクリと微睡んでいる。
俺もまた右手首の鉱石を眺めて浮かび上がるフローラのホログラムと見つめ合いながら穏やかに時が過ぎるのを満喫するのであった。
……そうして今日もまたルゥちゃんが舞い終わり腰を上げようとしたところで、当のルゥちゃんからみんなも一緒にやらないかと誘いの言葉が出て来て驚いてしまう。
急な変化にどうしたのか気になるが、たどたどしいルゥちゃんの言葉を解釈してみるとどうも仲間だから同じことを一緒にやりたいようである。
多分俺達が洞窟攻略やクラフト関係などをルゥちゃんと協力してやっているから、自分のやることも一緒にやるのが仲間として大事だと思ったのかもしれない。
……始めて会った時はお人形のようだったルゥちゃんが曲がりなりにも自分で考えて意見を口にするようになるだなんて、何だか感無量だ。
恐らく他の皆も同じ気持ちだったらしく、お陰で断るという選択肢が思い浮かばず自然と皆で炎の前に出てルゥちゃんの真似……というのもおこがましいヘンテコダンス大会を開く羽目になってしまった。
正確にはソフィアだけは最初こそどこか慣れた様子で優雅に見えるダンスっぽい動きをしていたけれど、結局はキャシーのワイルドという表現が似つかわしい動きに合わせる形でどんどんアレになってしまった。
まあそれでも見た目的な問題のお陰で女性陣の踊りは色々と魅力的に見えなくもなかったけれど、恐らく俺とハンスさんは……実際にやっているときはテンションもあって物凄く盛り上がってしまったけれど終わってベッドに入った今は頭まで毛布をかぶって呻きたい気分だ。