六百六十九頁目
余りの熱気で太陽のある空を見上げるのがきついところであるが、何とかソフィアの指し示す方を眺めてみれば確かに炎を纏った鳥が飛んでいる。
まさかこんなにあっさり見つかるとは驚きだが、少し後をつけているうちにとある既視感が湧いてくるのを覚えた。
見ている限りフェニックスは他の飛行生物と違って多少高度を変えてこそいるが着地しようとする気配が全く感じられないのだ。
その姿から俺は前の島にいたケツァ君のことを思い出していた。
ケツァ君の野生個体はずっと空を飛んでいたことを思うと、恐らく同じような動きをしているこのフェニックスも着地しないパターンだろう。
それをソフィア達に告げるがそれでも諦めきれない二人は麻酔矢や麻酔弾が届きそうにない高さに居るフェニックスを睨みつけながらケツァ君はどうやって捕獲したのか尋ねてくる。
……確かケツァ君が仲間になってからはその背中から麻酔を打ち込んでいたけれど最初の一体目の時は三人乗りが可能なペヤラちゃんに乗って二人掛で行っていたはずだ。
しかしこの砂漠ではペヤラちゃんの同種を見かけてこそいるが仲間にはしていないのだからどうしようもない。
改めて次の機会までにペヤラちゃんを捕獲しておくしかないと二人に諦めるよう言い含めようとするが、せっかくのチャンスを逃したくないのか珍しく素直に頷くことなく必死になって他の方法を考えていた。
……正直、強引に捕獲する方法なら思いつかないでもない。
それこそ前の洞窟探索で余っているグラップリングフックとアルケン、そしてパラシュートを組み合わせれば……だけどこんな天候の中でそんな危険な行為をするのは流石になぁ。
ましてケツァ君は反撃してこない温厚な生き物であったがこのフェニックスが同じとは限らないわけで、パラシュートを使っている最中に襲撃などされようものなら反撃も糞もなくボロボロにされかねないのだから。
六百七十頁目
二人が何も思いつかないようであればフェニックスの後をつけて回り万が一にも着地したら捕獲を試みる程度で済ませるつもりであった。
しかし残念ながら少し前に洞窟でグラップリングフックを使っていただけにソフィアが似たようなやり方を思いついてしまう。
幾ら何でも危険すぎるから却下したいところであるが、そのタイミングでフェニックスがギリギリ麻酔弾が届きそうな高度まで下がってきた。
だから一度麻酔弾を撃ち込んでみてそれで反撃してくるようであれば地上に近づくからゴーレムを盾にして無理やり捕獲に掛かり、反撃してこない個体であれば安全そうな場所を見つけ次第一度だけ試すのを許可することにした。
何だかんだで確かに貴重な生き物ではあるし俺自身もフェニックスに全く興味がないかと言うと嘘になる。
なので捕獲を試みるとなればやる気も湧いてくるというもので、自然とキャシーと共に眩しい太陽の日差しに耐えながらも狙いをつけて麻酔弾を打ち放った。
果たして二人のうちどちらのかは分からないが確かに麻酔弾が翼に当たり、僅かにフェニックスは身じろぎする様子を見せた。
しかしフェニックスは全く気にしていないかのように僅かな方向転換をするだけにとどまり反撃してくる気配は全くなかった。
それを見て改めて高度が上がるまでは麻酔弾を打ち続けて、届かないとこまで行ったら例のグラップリング戦法を試そうと主張するキャシーであったが俺はまたしても何か違和感と言うか既視感を覚えていた。
今回はすぐに理由が思い浮かばなかったが同じ光景を見ていたソフィアも何か感じたようであり、俺達のライフルに込められている弾が麻酔弾であるか確認させてほしいと言ってくるのであった。
今回名前が出た動物
フェニックス
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
アルゲンダヴィス(アルケン)
ロックエレメンタル(ゴーレム)