六百七十五頁目
捕獲難易度に対してあまり役に立たない疑惑が出てきたフェニックスだが、キャシーとソフィア的には伝説的で格好いい生き物を飼いならせるだけでも十分魅力的なようだ。
だから絶対に捕獲を諦める気はないらしく、むしろ絶対に逃がすまいと灰が落ちた周辺に拠点を立てておき簡易な檻代わりにしようとしている。
調査書の記述が確かならばあの熱気に反応して再びここに落ちた灰からフェニックスが生まれるはずで、その周辺を囲っておけばどこにも飛んでいくことができなくなるというわけだ。
……まあ火の鳥なだけに実体がなく炎が鳥の形を作っているだけだとしたらあっさり抜けられても不思議ではないが、一応麻酔矢が当たっていたので壁に引っかかりそうな実体もあるはずだ。
ただ火の鳥の火力次第では下手な建材では破壊される可能性が高いため、わざわざ拠点に残っていたハンスさんに連絡して素材を持ってきてもらい、金属の建材でもって豆腐型の拠点を作り上げることになった。
正直、戦力にならない生き物の捕獲にそこまで素材をつぎ込むのはどうかとも思ったが、ふとフェニックスなだけに何かで聞いた伝承の様に不老不死とか死者蘇生とかの能力を持っていたらと考えてしまった。
常識的に考えたらあり得なそうな傷を癒す能力を持った豚を始めとして色々と不可思議な現象も目の当たりにしている身としてはそれを完全に否定することができなかったのだ。
……尤もあの『待つ者』とやらでもフローラを今すぐ生き返らせることができていない辺り死者蘇生は難しそうだが、せめて今生きている人の傷を癒したり死ににくくする能力があったらと思うとやっぱり捕獲しておくべきだ。
実際にそういう能力持ちだとすると捕獲の面倒臭さに加えて熱波の時にしか活動できない制約が付いてきたとしても十分釣り合いが取れる生き物と言える。
……でもARKの底意地の悪さを考えたら人間の傷を回復できる能力を持った生き物なんか設計するとは思えない気もす……なんか毎回こんなこと考えた時に限ってそういう生き物が見つかっているような気もするなぁ。
六百七十六頁目
天候も落ち着いたことだし改めて洞窟攻略に向けての準備に取り掛かった俺達が作業を終えて洞窟の外へ出たタイミングでモーリツさんから無線が入った。
珍しいこともあるものだと連絡をとって見ると前々に約束した護衛の話をお願いしたいとのことだ。
どうやらこのARKの真実を受け入れがたい生存者の何人かがここから脱出したい一心で外周部の砂漠へ出向こうとしているようだ。
そんな彼らでもバリアの存在を認識すればここから真っ当に移動して逃げることなどできないとはわかってもらえるはずだが、そのためにはサンドワームの出没するあそこを突破するだけの戦力を持った護衛が必要不可欠なのだ。
流石のモーリツさんもまだあそこに進出できるほどの戦力はないらしいので俺達の出番と言うわけだ。
……正直なところ、スモークグレネードなりを使って一人でこの砂漠を生き抜いてきたほどのモーリツさんならば準備さえしっかりしていればあの危険地帯でも何とか攻略できてしまいそうな気はするのだが本当のところはどうなのだろうか?
今回名前が出た動物
フェニックス
デスワーム(サンドワーム)