ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第763話

六百八十四頁目

 

 護衛の動物の準備も終わったところでまだ日が落ちるまでほんの少し時間が残っていた。

 しかし野外活動するには短く、かと言って真っ暗と言うわけでもないので拠点に籠っての作業に徹するのも勿体ない絶妙な時間だ。

 だから久しぶりに俺も他の皆にまかせっきりになっていた牧場などの手伝いをすることにした。

 

 まずはルゥちゃんと一緒に畑へと向かってみると拠点の屋根をそのまま利用していたはずがいつの間にか温室効果のあるガラス壁で囲まれていた。

 恐らく工業炉と科学作業台ができた後でハンスさん辺りが地味にこういう拠点改修の作業を空き時間でしておいてくれているのだろう。

 お陰でと言うべきかレモンやトウモロコシにニンジンとジャガイモと言った畑でしか取れない作物が採取できるほど実っている。

 

 まあ防虫剤の材料でもあるため予想できていたことだが、まさかここまで整えていてくれるとは有り難い限りだ。

 ただ隅の方にある一つの畑だけなんか全く見覚えのない凄い派手で縦に長い花が咲いているのだけれど……これは一体何なのだろうか?

 

六百八十五頁目

 

 謎の花が物凄く気になるけれどルゥちゃんに聞いてみても分からないらしく可愛らしく小首を傾げるばかりであった。

 まあ後で他の誰かに聞けばわかるだろうと仕方なく思考を打ち切り、改めて作物の採取と肥料を偏らないように撒いていく。

 その際に例の花にも肥料を上げようとしたところ、手の付いた場所が悪かったのか食らいつかれそうになった。

 

 ……誤字ではない、本当にトラばさみの様に花が俺の腕を挟みこもうとしたのだ。

 ただ花に比べて俺の腕が小さすぎたこともあり何とか避けることに成功したがまるで天然のトラップのような花があることに驚きを隠せない。

 実際に閉じた部分は結構力を込めて見ても開くことが出来なくて、或いは上手く使えば本当に動物用の罠として使えそうに思われた。

 

 尤も既に工業炉が完成している俺達ならば金属性のちゃんとしたトラばさみを作れるのだから今更感が非常に強いのだが……だからこの花を植えた人もあえて俺に教えるまでもないと思ったのだろう。

 

六百八十六頁目

 

 畑の手入れのついでに水道も傷んでないか確認していき、それが終わったところで今度は牧場に赴く。

 そうして改めて状況を確認してみるが、こちらもまた非常に繁栄しているではないか。

 雄雌揃っている生き物は全て繁殖させているようで、TEKラプトルは元よりコレオちゃんの同種にカルちゃんも地味に数が増えてきている。

 

 尤も産まれた子供の雌を更に繁殖に回して加速度的に繁殖速度を上げているのは素材要因のTEKラプトルぐらいだ。

 コレオちゃん達戦力になる動物も数が多ければ多い方が良いのは事実だけれどサドルをつけて回る手間もあるし、連れて歩ける数も余り多すぎては逆に身動きが取れなくなって危険なためそこそこに抑えてあるのだ。

 それでも出血攻撃が出来るコレオちゃんは洞窟攻略用と言うこともあり既に二十匹……いや洞窟の奥に連れ込んでいる分を含めたらもう三十匹以上は居る。

 

 同じく出血させられるカルちゃんは専用のエアコン付き繁殖部屋で受精卵を産む傍から自動的に孵化するようになっており、こちらもまた二十匹近く増えている。

 この前雄雌揃った豚も近々繁殖が始まることだろうし、また地味にアルケンの幼体が歩いている姿も見受けられる辺りこちらも運用しつつ時間を見て増やそうとしてくれているようだ。

 しかしここまで数が増えてしまうともう一匹一匹に名前を付けて回るのは不可能だ……仕方ないことだけれどなんか寂しいなぁ。

 

 ちなみにTEKラプトルはもう雄の姿が見えない程の雌に囲まれており一度に数十匹単位で生まれてきている。

 ……ある意味ハーレムみたいな状況だがこれだけの数を二十四時間ずっと相手にし続けるだなんて……心なしかやつれているような気もするし雌の隙間からこっちに助けを求めるような目を向けているような気が……ま、まあそんなことあるわけないか。




今回名前が出た動物

TEKユタラプトル
ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
カルノタウルス(カルちゃん)
ダエオドン(豚)
アルゲンダヴィス(アルケン)
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