六百九十一頁目
集まっていた人たちはゴーレムを始めとした見上げる様な巨体の生き物を引き連れてきた俺達に露骨に慄いている様であった。
しかしいつぞやの人達と違い事前にモーリツさんから話が通っているのか一目散に逃げだすようなことにはならなかった。
そんな彼らに物理的に上の方から語り掛ける……のは見下しているように感じられるかもしれないので一旦もう少し視線が低い非常用の移動手段であるアルケン君に乗り換えて彼らの前に赴いた。
その際にチラリとどんな人が居るか確認してみたが、意外というかある意味で想像通りというか、集まっていたのは例外なく男だけであった。
これが女性の生き残りは外周部の砂漠へ出向こうとしていないためなのか、或いはこの過酷な環境に突然放り出されて生き延びれたのが男だけなのかは分からない。
もちろんそんな男たちの中にシャルル少年の姿もあり、幼さが残る中性的な彼は屈強そうな男ばかリの中で結構浮いているように映る。
……いやよくよく見れば澄んだ目で片っ端から例のごとく勧誘行動的な事をしているせいで実際に避けられているっぽい。
これはこれでルゥちゃんとは違う方向で厄介そうである。
ただ他の人達が自分の乗っている或いは傍に侍らせている動物一匹か二匹しか引き連れていないのに対しシャルル少年は自身の乗るコレオちゃんの同種に加えて狼数匹と針トカゲと背中に刺の生えている奴、更にはモスラの同種まで引き連れている。
しかもその動物達が他の人の邪魔にならないよう巧みに誘導できておりモーリツさんの見立て通り動物の操る能力は大したもののようだ。
そんなモーリツさんはこの場にはいない……パララ君二号に乗って新たな生存者が来ていないか見回りを続けるためだ。
……今更だけれどやっぱりなんか上手いこと要領よく厄介な方を押し付けられる様な気がするなぁ。
六百九十二頁目
俺とハンスさんが役割を説明した上で外周部の砂漠へと踏み出していくと、他の皆も後ろからゆっくりと付いてくる。
恐らくは俺が野生の動物と戦闘になった際に巻き込まれないよう警戒している……だけでなく俺達が何かしてこないか不安な面もあるようだ。
まあ戦力的に争いとなれば一方的に蹴散らされるのが分かりきっているだけに仕方のないことだ。
ただ危惧しているのは非常時に俺達が出した指示に従ってくれるかどうか……パニックになって乱戦にでもなったらこちらの動物のサイズ的に攻撃に巻き込みかねない。
そうなった時のことを考えるとソフィアから例の花を貰ってきたのは正解だったかもしれない。
そう考えている間にも早速カマキリが向こうからカマを擡げて飛びかかってきた。
更にその後ろからは蛇やサソリにムカデなどが群れなして迫ってきており、相変わらずヤバい場所であることを実感させられる。
尤も俺達の連れている動物の敵ではないのでむしろ余裕のある今のうちに他の皆が危険を前にしてどう動くのか軽く観察しておくとしよう。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
アルゲンダヴィス(アルケン君)
ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
ダイアウルフ(狼)
モロクトカゲ(針トカゲ)
ケントロサウルス(背中に刺の生えている奴)
リマントリア(モスラの同種)
パラケラテリウム(パララ君二号)
カマキリ
ティタノボア(蛇)
プルモノスコルピウス(サソリ)
アースロプレウラ(ムカデ)