ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第767話

六百九十三頁目

 

 当初の想定通り……いやある意味でそれ以上に同行している彼らの助力は望めそうにない。

 何せ危険が迫るとなるとまず自分の身の安全を確保しようと距離を取ろうとする……のは良いにしてもその際に自分の動物を旋回させるのに手間取ったりして他の人の動きを阻害したりして、挙句の果てにそれをきっかけに小競り合いまで起こす始末だ。

 そんな血気盛んな彼らをメタルパララ君の上から動物に指示を出しつつ観察していたハンスさんは呆れた様子、ではなくかつては彼らより動物を操るのが苦手だったことを思い出すのか何とも言えない顔をしていた。

 

 ただそんな中で唯一シャルル少年だけは別格であり、冷静にまずは自らの壁役として背中に刺の生えている奴を前に出したかと思うとこちらのゴーレムの攻撃に巻き込まれないよう既に戦闘を開始しているカマキリではなく後ろから迫る集団にモスラの同種を嗾けギリギリ攻撃の届かない中空から動きを鈍らせる鱗粉を散布して動きを制してくれた。

 しかも鱗粉の当て方が微妙に時間差を置いているらしく、自然と一体ずつ戦えるような状況を整えてくれたのだ。

 恐らくは……いや間違いなく俺がARKに来て結構経ってから習得した命令グループ分けも完璧に習得出来ている上で動物の特徴を活かすべく巧みに異なった動きをさせているのだから驚愕の一言だ。

 

 ここまで完璧だとサンドワームさえいなければシャルル少年一人でも強引にこの砂漠を突っ切ってバリアまでたどり着けるかもしれないと思ってしまう。

 ……まあ幼いながらもそこまで才能があるからこそモーリツさんとしても余計に無駄死にをさせたくなくて俺達に護衛を頼んだのだろう。

 

六百九十四頁目

 

 まさか敵の処理よりもその後に感情的になった皆が収まるまでの方に時間が掛かるとは思わなかった。

 同じトライブの人間でないため俺のことをリーダーとして尊重してくれてくれるとまでは期待していなかったが、それでも俺の指示にもう少しは従ってくれると内心思っていた。

 しかし実際は自分の感情を優先する者ばかりであり、しかも彼ら同士もまたチームではないのかそれとも派閥でもあるのか仲良く協力して……なんて雰囲気は殆ど感じられなかった。

 

 ただここが危険な場所であることは理解したようで護衛である俺達から見えなくなるところまで離れようとする人はいないのだけは救いだった。

 お陰で皆が落ち着いてくれば何とか先に進めるようにはなった。

 ……だけどそのタイミングでサンドワームが飛び出してきてくれたものだから大変だ。

 

 地響きを立てながらゴーレムを上回る背丈の生き物が地面の下から飛び出してきたのを初めて目の当たりにしたらただでさえ驚かずにはいられないというのに、こんな統制の取れていない状況ではパニックが起こるのは必然だ。

 実際に俺達が戦い始めるのを尻目に我先にとこの場から離れようとして、その際に進行方向に居る邪魔になりそうな味方を自分が先に逃げようとばかりに強引に押しのけようとしたり或いは攻撃まで仕掛ける輩も居て……もう大混乱だ。

 ハッキリ言ってサンドワームの攻撃よりも彼らが同士討ちしないかの方が気になって仕方がない。

 

 ……こういう人達ばかりだからこそモーリツさんも行動を共にしようとはせず、俺達にも必要があるまで会わせようとしないでくれたのかな?




今回名前が出た動物

パラケラテリウム(メタルパララ君)
ロックエレメンタル(ゴーレム)
カマキリ
リマントリア(モスラの同種)
デスワーム(サンドワーム)
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