ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第772話

七百二頁目

 

 モーリツさんへの連絡を終えた後、動物達の傷が最低限またサンドワームと連戦になっても耐えれる程度に癒えるまで豚に肉を食わせ続ける。

 その間も砂漠の熱気が収まることはないため、一旦シャルル少年をクーラーの効いているメタルパララ君の背中にある拠点へ避難させることにした。

 一応シャルル少年は砂漠用の装備に加えて持参していたサボテンスープも飲んでいるためそこまで熱気に苦しめられているわけではないが、それでもクーラーの効いた室内の涼しさには感激した様子を見せてくれた。

 

 そうして冷たい空気が出るクーラーを初見ということもあり無邪気な子供のようなキラキラした目で眺めながら、これもまた神の与えたもうた奇跡の一欠片なのですかと真剣なまなざしで問いかけてくる。

 どう答えて良いのかわからないが取りあえず『これも』という表現が気になり先に聞いてみると、どうも彼は空から降ってくる物資入りのカプセルを神様が人々を救うために齎した奇跡だと思い込んでいるようだ。

 ……前にどこかで『十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない』なんて言葉を耳にした事がある。

 

 確かに文明がそれなりに発達している現代日本から来た俺の目からしても初めてあのカプセルを見た時は非現実的な光景に見えたぐらいだし、まして呪い事などがまだ信じられていた時代から来たシャルル少年の目にはそのように映っても不思議ではない。

 しかしそんな彼に果たして科学がどうとか伝えて良いものか……というかモーリツさんはシャルル少年にどこまで事情を話しているのだろうか?

 

七百三頁目

 

 一応クーラーに関しては奇跡などではなく科学的な構造で作られた文明の利器であることを説明……しようとしたが凡人の俺では仕組みなどを詳細に語ることはできなかった。

 だから代わりにそういう分野には強いハンスさんに説明して貰ったが、今度は自然と動力である電気についても問われてしまい、そこに絡むコイルやら磁力やらと芋づる式にどんどんややこしい話になっていってしまう。

 当然まだ幼いシャルル少年には難しすぎる話であり、いまいち理解できていない様子であったがそれでも真剣な様子で一字一句忘れまいとばかりにハンスさんの説明を聞き続けていた。

 

 その熱心さは前の島において出会ったばかりで帰ることを諦めていなかったオウ・ホウさんを思い起こさせる。

 ……多分動物を戦力として元の世界に連れ帰ろうとしているシャルル少年なだけに、ここでクーラーなどの科学技術も持ち帰り仲間と共有したいと思っているのだろう。

 ただ残念ながらその思いが報われることがないと知っている俺は、シャルル少年がその現実と向き合った時に絶望して命を絶たないか不安になる。

 

 言いかたは悪いが少年十字軍などというものに参加するほど真っすぐな……言い換えれば狂信者的な面がある子なだけに、帰って仲間と共に果たすべく使命に参加できないとなったら極端な選択をしかねないような気がするのだ。

 それこそ前の島でかつての俺が帰れない事実を知って自ら命を絶とうとした記憶があるだけに余計に心配で仕方がない。

 ……まあその辺に関してのフォローは俺よりモーリツさんの方が上手そうだし、余程の事がない限り彼に任せるとしよう。




今回名前が出た動物

デスワーム(サンドワーム)
ダエオドン(豚)
パラケラテリウム(メタルパララ君)
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