七百七頁目
取りあえず今はカマキリの捕獲に集中するとして、早速サボテンスープに加えて防虫剤を飲み下す。
その上でハンスさんとシャルル少年に何かトラブった時にすぐ動けるよう警戒して貰った状態で俺は一人、地べたに這いつくばりカマキリに向かって匍匐前進していく。
こうすることで音などが抑えられるためより一層相手に気づかれにくくなり、刺激せずに餌を与えやすくなるためだ。
できればこれに加えて迷彩効果のあるギリー装備もあれば完璧だったのだが、今更ながら作っておかなかったことを後悔する。
考えてみればもう有機ポリマーもそこそこあるわけだし一人分ぐらいは作っても問題なかったのに……尤も砂漠という緑が殆どない場所で植物に偽装するギリー装備の迷彩が意味を成すかと言われれば……いやARKならその程度の不思議は全然あり得るし検証しないと分からない。
まあそれはともかく今の時点で出来る完璧な対策をしてカマキリに近づいたところ、何とか気づかれずに接触することができた。
後はこのまま向こうが敵対しないよう気を付けながら餌を口元に運ぶだけ……なのだが果実や肉を与えて見ても食いついては来なかった。
しかし一応他の手渡しで餌を食べさせる動物の様に反応自体はしていたため、どうやらこのやり方で仲間に出来そうではあった。
ただ問題は何を食べさせたらいいかだ。
仲間になった後はともかく仲間にする際には見た目からは予想もつかない餌しか食べない動物も多いため偏見に囚われず所持品の中から工業品以外を可能な限り与えてみる。
するとその中に紛れていたサンドワームの角に反応を示したかと思うとバクッと食らいついたではないか。
……たまたまさっき倒した奴のを持っていたからともかく、普通はカマキリがこんなもん食べるとは思わないだろう……何を考えてるんだ設計者は?
何よりサンドワームの角は文字通りサンドワームの死体からしか回収できない上に毎回手に入るとは限らない希少な素材だというのにそれを要求するだなんて嫌がらせとしか思えないぞ……。
七百八頁目
凄いっ!! まさか本当にカマキリが人間の道具を使えるだなんてっ!!
日記に書いてあったから一応試してみたのだがここまで巧みに使いこなすとは思わなかった。
しかも動物の腕力で振うからか人間が使った時よりずっと威力が上がっている。
外周部の砂漠を抜けたところで鉄の槍を持たせて近くにいたモスラの同種に攻撃させたところ、鱗粉の反撃も許さずに倒せてしまったほどだ。
また斧やツルハシを持たせれば採取作業も出来て、その際の効率もまた同じ道具を持った人間より上回っているようだ。
もちろん飛びかかり攻撃という形ではあるがジャンプもできるのに加えて、身体のサイズ的に大型の肉食では入っていけないところでの護衛や採取活動をさせるのにうってつけだ。
これは凄い万能選手になりそうな予感がする……これなら要求される餌も含めた仲間にするための難易度の高さも納得できる、気がした。
シャルル少年も武器を使った時の攻撃力の高さに高揚しているようで、自分でもいずれは捕獲に赴くつもりのようである。
尤もそのためにはサンドワームを退治できなければ話にならないのでまだまだ先の話になりそうだ。
何せ今の定期的にサンドワームを刈っている俺達ですら角の在庫は余りないぐらいで、幾ら便利とはいえ今すぐ数を揃えようという気にはなれないぐらいなのだから。
……ただこのカマキリにも性別があるみたいだし繁殖可能なようであればもう一体捕まえたところで量産体制に移り一気に数を増やせるのだが果たしてどうだろうか?
もしそれが上手く行けば有機ポリマーまで安定して手に入るようになるわけで、希少なサンドワームの角を費やしてでも試す価値は十分あるだろう。
……どうでもいいが素材として使える角といえば前の島にいたサイを思い出すが、あいつがこの砂漠に居たら同じ角だしそっちで代用できたのかな?
今回名前が出た動物
カマキリ
デスワーム(サンドワーム)
リマントリア(モスラの同種)
ケブカサイ(サイ)