七百十九頁目
何だか久しぶりに袋の中に納まっているルゥちゃんを見た気がするが相変わらず可愛らしい。
尤も俺が見ていないだけで結構な時間を共に過ごしているようでカンガちゃんとの仲はさらに深まっているようだ。
何せルゥちゃんの視線の動きだけでやりたいことを把握してカンガちゃんが自主的に動いているのだから。
一緒に連れてきたアルケンは口笛を吹いて指示しなければ着地してくれないのだから歴然の差だ。
……それはそれとしてルゥちゃんも乗っている動物以外にも指示を出せるようになっていることに成長を感じて嬉しくなる。
この調子ならばオウ・ホウさんが付きっ切りで支援する必要も近いうちになくなるかもしれない。
もう少し情緒が成長したらプライベートな時間も欲しがるだろうし、その時に備えて徐々にオウ・ホウさん離れも経験させていくべきだろうか?
……まあ仮に行うとしても今すぐだと色々と誤解しているシャルル少年が余計に困惑しそうだしタイミングを見計らう必要がありそうだ。
七百二十頁目
ルゥちゃんの持ってきてくれた素材のお陰で大砲の弾を精製できるようになれば罠にかかっているゴーレムを昏睡させるのは容易い話であった。
ただ取り掛かった時間差もあってか、こちらがちょうど昏睡させたところで先に作業を終わらせたハンスさん達が様子を伺いに来た。
向こうも無事に終わったようで今度こそ一息つける……と思ったのもつかの間、カンガちゃんの袋に納まっているルゥちゃんを見てシャルル少年が少しだけ取り乱した。
シャルル少年から見れば天使に選ばれた偉大な存在が動物の袋に納まっている姿に思うところがあるようだ。
尤も口調も定まらない様子で聖書か何かの一節を引用したかのような内容を口にしているせいで、俺やハンスさんにはこの状況に肯定的な感情から来るのか否定的な感情で騒ぎ立てているのか判断がつかない。
もちろん当のルゥちゃんもサッパリなようで小首を傾げたり隠れるように袋の中に頭を引っ込めたりして……まるで困っているようにも見えたため助け舟を出そうとシャルル少年を落ち着けようとした。
……のにそのタイミングで無数の羽音と共に空から影が差したかと思うと聞き覚えのある声が聞こえて来て、反射的に頭上に視線を向けた俺は固まってしまう。
何故なら二桁にも及びそうな飛行生物の群れが空を覆いつくしていたからだ。
もちろんその先頭にはキャシーとソフィアの乗っているアルケンの姿があるので多分全部仲間にした動物だろうと想像は付いたが、この光景は予想もしていなかっただけに思わず呆気に取られてしまうのであった。
今回名前が出た動物
プロコプトドン(カンガちゃん)
アルゲンダヴィス(アルケン)
ロックエレメンタル(ゴーレム)