七百三十四頁目
まさか順調に行きすぎるのが逆に仇になるとは予想外だった。
一日頑張ったお陰で素材は充実するしゴーレムも、新しく仲間にした個体も含めてローテーションで盾役にすることで誰一人失うことなく数を増やすことができた。
……そう本当に上手く仲間に出来過ぎて、また拠点に戻ったところで襲撃してきた多数のゴーレムも可能な限り捕獲したことで元々捕まえていたゴーレムと合わせて合計で二十体体も集まってしまったのだ。
更に道中では近くに降りてきたカプセルも回収して回っていたのだが、ちょうど帰り道の途中で一番いい物が出やすい赤いのを見つけて寄ってみたところ、何とゴーレムの高品質サドルの設計図が手に入ってしまった。
これでただでさえ硬いゴーレムは鉄壁とも言える防御力になり、こうなるともうサンドワームですら一対一で殴り勝ててしまいそうなほどだ。
ここまでくれば残る強敵でありいまだその戦力が未知数なワイバーンが相手であっても数と装備の差で同等以上に渡り合えるだろう。
誰しも同じ結論に至るのが明白なこの状況において、あれだけワイバーンの捕獲に前向きだったキャシーとソフィアが黙っているわけがなかった。
ちょうど洞窟攻略の方も最低限のコレオちゃんの同種は育ってきているが、もう少し時間をかけて隙間の奥で活躍できる個体数を増やしたほうが安全ではある。
つまり時間的にもワイバーンの谷へ進出する余地があるわけで、更に言えば火を噴き空飛ぶオオトカゲなんて聞けばシャルル少年も食いつかないわけがない。
そしてキャシーにお願いされたらハンスさんもまたワイバーンの谷の攻略に前向きな態度を……いやゴーレム捕獲行が余程堪えているのか即座に頷いたりはしなかった……がキャシーに上目遣いで、一緒にきてくれないのデスカ?と聞かれたらあっさり折れてしまった。
……ハンスさんが情けないというよりキャシーの作戦勝ちというか……いや計算してやってるのかは分からないけれども……
こうなると多数決的にもどうしようもなく、明日支度を整え次第ワイバーンの谷へ進出することになった。
……多分戦力的にも非常時の逃走手段もこれ以上ないほど整っているはずなのに、どうしても不安な気持ちが湧き上がって仕方がない。
前の島でのドラゴンとの戦いで植え付けられた炎のブレスに対する脅威がトラウマのごとく身体に染み込んでいるせいだろう。
ただ同時に空飛ぶ竜を仲間に出来るかもしれないという期待もありティラノを始めて捕獲した時のような高揚感もある。
それらが入り混じった結果、感情がどうにも落ち着かず胸がドキドキと高鳴って仕方がない。
……これでは眠れそうにないし布団に入る前に睡眠導入剤として紫の果実を齧った方がよさそうだな。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
デスワーム(サンドワーム)
ティラノサウルス
ドラゴン