七百四十四頁目
まさかワイバーンが炎ではなく電撃を放ってくるとは予想もしていなかった。
しかもその威力もかなり高いようで、ゴーレムの頑丈な身体をあっさりと貫通した上でなお減衰した様子もなく、たまたま斜線上に飛んできていた羽アリ達を一瞬で焼き尽くすほどの火力だ。
また死体の焼け焦げ具合からも熱戦は何度も同じ場所を焼いている跡があり、一度当たればそのまま連続で焼かれ続けたような致命傷を負うことになりそうだ。
正直こんなものを食らったらひとたまりもない……それこそ今まで警戒に警戒を重ねてきた炎のブレスよりずっとヤバい気すらする。
尤も炎のブレスの方は射程距離こそ短いが横にも広がるので攻撃範囲内で回避する分には電撃より厄介そうであるがそれはともかく、ワイバーンがこんな予想外の攻撃を繰り出すとわかった以上、一度出直して考え直す必要があるかもしれない。
その辺りのことをゴーレムの損傷具合で決めようとブレスが収まったタイミングで確認してみたところ、電撃に正面から貫かれた部分は無残にも焼け焦げ……るどころか全くもって傷一つ付いていなかった。
……あれ? どうなってるんだこれ?
確かにはっきりと電撃のブレスがゴーレムの身体を貫通しているところを目の当たりにしたのだが、背中に背負っているサドルも含めて焦げ跡すら付いていないではないか。
流石に変だ……ゴーレムにも血液が流れているっぽい以上は幾ら岩のような特徴があるとはいえダメージを受けないわけは……岩地面っぽい身体で電気が無効……まさか某ゲームのタイプ相性的なのに設計者が影響を受け……い、いや幾ら何でもそんな遥かな未来にまであのゲームの影響が残っているわけないよな?
七百四十五頁目
良く分からないがどうもゴーレムはワイバーンの電撃ブレスを無効にできるようだ。
また命懸けになるので検証してはいないが、背中に背負っているサドルが焼け焦げていないことから多分前の島に居たクジラもどきと同じように乗っている人間もまた同じ保護効果を得られそうである。
恐らくこれは空を飛べるワイバーンの遠距離攻撃に対抗できる手段がないと、こちらが何をしようとも向こうの動き次第で攻略不可能になりかねないと危惧して、ゴーレムにこのような耐性が付加されているのだろう。
この推測が正しければ前に見たワイバーンが吹いていた炎のブレスも無効化できそうであるが……もしそうならば前の島にもこのゴーレムを用意しておいて欲しかったなぁ。
そうすればドラゴンとの戦いもあれほど苦労せずトラウマにもならずに解決できたかもしれないのに、つくづく惜しいというかARKの設計者の性格が悪いと言うべきか。
まあいつまでも過ぎたことを考えていても仕方がないので、取りあえずワイバーンの眼前に囮役のゴーレム……特別にイワー君と名付けた子を待機させつつまずは麻酔を打って眠らせてみることにした。
もし効果が無ければすぐに大砲に切り替えるつもりだが予想に反してワイバーンは麻酔を受けると僅かにふら付いたではないか。
フェニックスやゴーレムのような幻想生物なだけにそいつらと同様麻酔は効果がないと薄々思っていただけに、逆にこんなシンプルな方法で仲間に出来てしまいそうなことに驚いてしまう。
……まあ楽できる分にはありがたいのだが、なぁんか騙されているような気がしなくもないんだが……?
今回名前が出た動物
ライトニングワイバーン(電撃を放つワイバーン)
ロックエレメンタル(ゴーレム・イワー君)
ファイアワイバーン(炎のブレスを吐くワイバーン)
ティタノミルマ(羽アリ)
バシロサウルス(クジラもどき)
フェニックス