二百四十頁目
俺が島に戻るとフローラは木材で作ったコテージ風の家を自慢げに披露してきた。
わざわざ斜めの天井まで作っていて、俺が作る拠点とはまるで違うまさに住居と言える出来栄えに仕上がっている……本当に良く出来ていて脱帽だ。
更に入り江に向かってデッキが伸びており、その端には椅子と長テーブルが置かれていてフローラはここで食事をとろうと言ってくる。
まだ昼には少しだけ早い時間帯だが、確かにここで入り江を眺めながら取るご飯は美味しそうだ……だから提案に乗ってフローラの手料理を頂くことにした。
ちゃんと長期保存も考えて作ったというフローラのオリジナルレシピ料理は相変わらずとても美味しく、何より波の音を聞き自然の風を感じながらの食事は風情も感じられてとても楽しかった。
そして一足先に食べ終えたフローラは、ついで自慢げに釣り竿を二つ取り出して見せると一つを俺に渡して勝負だと言い入り江に糸を下ろし始めた。
恐らく木材と繊維とわらを組み合わせて作ったであろう竿は中々頑丈そうで、これなら確かに釣りが出来そうだった……餌さえあればだが。
一応手元にあるものを餌代わりに放り投げてみたが、結局魚が食いつくことはなくフローラはかなり不満そうにしていた。
だけどそんな彼女も可愛くて、俺はピクリとも動かない釣り竿を握っているだけで幸せなのだった。
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ようやく移動しようと言い出したフローラだが、釣りに飽きたのかと思いきや餌になりそうなものを探そうと言いだす程度にはまだ諦めが付いていないようだ。
正直なところ、フローラの作った家と言い安全な雰囲気と言い……ここがあんまりにも居心地がいいからこのままベッドを作ってダラダラ過ごしたいと少しだけ思ってしまう。
尤もまだまだ昼間真っ盛りで太陽が出ているこの状態で、怠けるわけにはいかないだろう。
仕方なく体を起こしてフローラと共にアルケン君とタヴィちゃんに乗ってこの島を一旦後にする……立地的には不便な方だが、この拠点は大切にしたいものだ。
そう思いながら島に戻ったところで、当初の予定通り北上して反対型の東北にある小島を目指すべく飛び始める俺とフローラ。
あちらの小島もここと同じ様に過ごしやすい場所だと良いのだが……ちょっとワクワクしてしまう。
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海岸沿いに北上しようとしたところで大きな崖が目に付いて……ここに洞窟があったことを思い出して顔をしかめてしまう。
そんな俺に目ざとく気づいたフローラがすぐに問いかけてきて、ごまかそうとしたが許してくれなかった。
どうやら俺に隠し事をされるのが嫌なようで、答えないなら掴んじゃうぞとアルケン君の鍵爪を立てながら近づかれてしまった。
空中で掴まれたらたまらない……仕方なく洞窟の事を教えると、思った通りフローラは目を輝かせてしまう。
幾ら危険だと言っても入り口を見るだけだと言い、実際に案内すると今度は少しだけ中に入りたいと言い出した。
また肉食に襲われるかもしれないと口を酸っぱく言っても聞いてくれない……どうしたものかと思っていると崖の上にラプトルが居るのを見つけた。
だからフローラにあれにアルケン君で近づき、鍵爪で掴んで持ってくるよう試練を出した。
前に拠点を壊した奴の仲間なだけに、流石に少し思うところがあったようだがそれでもフローラは毅然と俺に言われたことをやりきった。
運んできたラプトルを確保したまま空中で待機してもらい、地上から麻酔矢で打ちこむことであっさりと眠りに落ちたラプトルは簡単に仲間に加わった。
このラプトルのサイズなら背中に乗ったまま洞窟に入ることができる……だからサドルを作りつつもう一匹連れてくるように頼んだ。
……まさかこんな形で洞窟に再挑戦する羽目になるとは……もしもここも毒ガスが発生していたら……本当に慎重に進んでいこう。
【今回名前が出た動物】
アルゲンタビス(アルケン君・タヴィちゃん)
ユタラプトル
【今回登場した洞窟】
SouthEastCave(大物の洞窟)