七百六十一頁目
遂にようやくこの先へと進む段階に入れた。
何度も何度も足を運んでは既に遠目には見えているアーティファクトの輝きを尻目に引き返すのは毎回地味に後ろ髪惹かれる思いであった。
しかしそうして慎重に準備を進めたお陰で高品質サドル付きのコレオちゃんが七匹も揃えることができた。
こうなればもう何を恐れることもない……極端な話、目の前に広がる暗黒にむかってダイブしたとしても適当な壁に張り付ければそのまま進んで行くこともできる。
尤も見通せない下の方がどこぞの洞窟の様に落ちたら即死しかねない天然のトラップになっている可能性もあるし、そうでなくても敵の動物がウジャウジャ湧いているかもしれない。
そう考えると例え暗闇の中にぼんやりと浮かぶアーティファクトに照らされている足場まで助走をつけてジャンプしたら届きそうであっても、そんな危険な真似をするわけにはいかないのだ。
もちろんソフィアが戯れに提案したであろうパラシュートでGO作戦は駄目に決まっているし、ルゥちゃんが前にこの洞窟でカプセルを回収した時を思い出して主張したグラップリングフックでターザンのように……いやソフィアを含めて誰も知らないらしく上手く伝わらなかったが、とにかく飛び移るのも絶対にダメです。
…………まあ本当に頑張れば届きそうな距離にあるからやりたくなる気持ちはもの凄ぉく分かるんだけどね。
七百六十二頁目
壁画のある向かって左側の壁沿いに進める道があることは既にわかっている。
そのためいつものように俺が前を進み後ろから皆に付いて来て貰う形をとって進んで行く。
こうなると俺の方からは一番危なっかしいルゥちゃんを含めた皆の様子を確認するのに振り返る必要が出てくるので少しだけ不安だが、ありがたいことにすぐ右側にも壁が現れて来て足を滑らせる心配は無くなった。
また道自体もそれなりに広いため他の三人は並んで行動できるため、自然とルゥちゃんを真ん中で挟む形になっていてこれなら迷ったりする心配もないだろう。
後ろが大丈夫そうだと安心したことで前に集中できるようになり、お陰で現れてきた二匹の蝙蝠もあっさり処理することができた。
この調子で道が続いていれば何も問題なくアーティファクトまでたどり着けそうであるが、そんな上手い話があるわけがない。
果たして少ししたところで右側の壁が無くなったかと思えば、目の前の道もコレオちゃんが二匹並んで渡るのも難しそうなぐらい細くなっているではないか。
幸いなことに細くなっている箇所はほんの数歩分ぐらいで、それを過ぎればまた今いる場所ぐらいの幅に戻っているが……坂道と暗闇で見通しは悪いが耳を澄ませてみれば蝙蝠と思わしき生き物の鳴き声が聞こえているではないか。
偶然か必然かは定かでないが、横に広々とした空間があるこの状況で蝙蝠に待ち伏せされているのは非常に厄介だ。
それこそ細い道の途中で襲われて取り乱しでもしたら下に向かって真っ逆さま……と右側の方に視線を向ければ、先ほどより距離の近づいたアーティファクトが下の方に見えている。
……普通に進むのを躊躇いたくなりそうなタイミングで飛びつきたくなるこの光景、絶対に狙ってるだろ設計者……騙されんぞ俺はっ!!
今回名前が出た動物
ティラコレオ(コレオちゃん)
蝙蝠(オニコニクテリス)