ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第806話

七百六十七頁目

 

 渡った先の道はまた壁際に沿いながら螺旋状に下へと続いていた。

 そこを慎重に降りていく途中で分かれ道があり、それは更に下へと続いている道と……少し離れたところで煌々と光を放っているアーティファクトに繋がる道であった。

 どうやらアーティファクトは先ほど飛び石の様に飛び移って渡る際の中間にあった柱の真下にあったらしく、柱の真ん中あたりがくり抜かれたように開いているスペースに鎮座しているようだ。

 

 俺達の居る壁際からそこまで橋のような細い……と言っても数匹ぐらい並んで渡れる程度の幅がある道が伸びており、このまま進めば普通に回収できてしまいそうだ。

 しかしこれまで多くの洞窟を探索してきた俺には、間違いなくあのアーティファクト近辺に近づいたら何かが起こるであろうという確信めいた予感があった。

 それこそ先ほどからデジャブを感じているフローラと初めて攻略した洞窟もアーティファクトを回収したタイミングでオオトカゲが噛みついてきて、感染症でえらい目を見たではないか。

 

 またこの砂漠にある一つ前に攻略した洞窟の場合はアーティファクトの傍に岩に擬態して待ち構えている小型のゴーレムが居た。

 だから今回もまたあのアーティファクトを回収しようと不用意に近づいた輩を驚かせる何かがあるに違いなく、今すぐにでも回収したがっている三人を宥めながらどう回収するかについて話し合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……どうしてなんだっ!?

 せっかくわざわざ話し合って完璧だと思う作戦を立てて慎重に近づいたときに限って……何も起こらないんだよぉおおおっ!!

 

七百六十八頁目

 

 あっさり回収できたアーティファクトを始めて目の当たりにしたシャルル少年は興奮した面持ちで、同じく新しいピカピカを前にニコニコしているルゥちゃんの前に掲げたり捧げたりしながら早口で何事か捲し立てている。

 そんな純粋に喜んでいるお子様二人を尻目に俺は玄人ぶって、長年の経験からアーティファクトを回収する際に何かが起こるのさ、俺にはわかっている! などと自慢げに宣言した自分が恥ずかしくて居たたまれない心境であった。

 ソフィアは慎重なのは大事ですとか何とかいって慰めようとしてくれるしフローラも右手首をチカチカさせているけれども……うぅ、穴があったら入りたいというのはこんな心境なのか。

 

 尤も洞窟の中に居る現状はある意味で穴の中に居ると言えなくもないのだが、こんなところに長居したいとは全く思わない。

 むしろアーティファクトを回収し終えた以上、危険なここに留まっていないでさっさと外に出た方が良いぐらいだ。

 だから未だにはしゃいでいる子供二人にアーティファクトを仕舞うよう告げると、再び来た時と同じ並びで道を引き返していく。

 

 その際に下り坂になっている分かれ道に差し掛かるが、敢えてこの先を調べようとは思わなかった。

 洞窟で見つけられる目ぼしい物と言えばアーティファクト以外はカプセルぐらいなので、この先を調べても恐らく遠からず行き止まりになっておりその道中か行き止まりにカプセルが配置されているぐらいだろうとこれまでの経験でわかっているからだ。

 ……さっき思いっきり外した後だから言い切るのはちょっと不安だけれども、まあ後で気になったらその時に改めて動物の扱いに慣れているキャシーとシャルル少年に付いて来て貰いササっと調べれば済む話だ。

 

 それより下手に探索を続行してまたヘンテコな地形で神妙な動物扱いを求められたりしたらルゥちゃんがミスって大変なことになりかねないし、せっかく手に入れたアーティファクトという戦果を何かのトラブルで紛失でもしようものならそれこそ大損なのだから。




今回名前が出た動物

メガラニア(オオトカゲ)
ラブルゴーレム(小型のゴーレム)
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