七百七十二頁目
ゴーレムの無事な様子を見届けたキャシーは次いでワイバーンの谷の中を観察し始めた。
そうして僅かにだが再び湧いていたワイバーンと新たに産み落としたであろう卵の存在を確認するなり、チラリと俺の方を物言いたげに見つめてくる。
……恐らくワイバーン軍団を結成するためにもあの卵も回収しておきたいのだろう。
しかし幾ら何でも時間的な余裕が無さすぎるし、そもそもまだ育成法すら確立できていない現状で卵ばっかり集めても仕方がない。
当の本人もそれは理解しているようで俺が移動しようと言うと文句ひとつ言わず頷いてくれた……がやっぱり去り際に未練がましく何度もチラチラとワイバーンの谷を振り返っていた。
……確かにワイバーンも数が揃えばゴーレム軍団並みに頼もしそうではあるし無数のワイバーンを引き連れて飛んだら凄く気持ちいいとは思う。
だからいずれ時間がある時に手伝ってあげても良いのだが、正直言って俺の中で優先順位は低いと言っていい。
何せ俺が今後しなければいけない残る洞窟攻略は元よりオベリスクの守護者との戦いにも下手に飛行能力があるせいで恐らく連れて行くことができないのだから。
まあ他の生存者もいるこの砂漠に残ってフェニックスを含めた他の動物の捕獲を続けるつもりであろうキャシーやソフィアにとっては話が変わってくるためここまで執着する気持ちも分かるのだけれども……
七百七十三頁目
予想通り二人でコレオちゃん軍団を最後の洞窟まで運搬し終える頃には日が落ちて辺りは薄暗くなりつつあった。
しかし俺達は迷うことなくまっすぐに皆の待つ拠点へと向かうことができていた。
それはキャシーの手の中にあるGPSのお陰であった。
実はハンスさんが気を効かせて素材が揃った時点で作ってくれていたらしく、キャシーやソフィアが手の空いている時間を使い俺達の拠点や洞窟の入り口などといった目ぼしい地点の座標を全て記録しておいてくれたのだ。
お陰で暗闇の中でも松明の明かりで浮かび上がるGPSの数値を見ながら移動すれば目的地を見失ってさ迷う心配は無くなった。
……前の島では手に入ったタイミングが遅すぎて余り活用することができなかったためGPSという存在自体をすっかり忘れていたが、確かにちゃんと使えばこんな便利な物もそうそうないではないか。
今まで思い出せなかったことを恥じながら拠点へ戻るまでの時間を使ってキャシー達がマークした座標の一覧を見せてもらうと、それぞれの資材の回収ポイントや有益だったり特殊な資源が取れる動物の生息地まで事細かく記されていた。
ちなみにその中でもひときわ大きく目立つ形で記されていた座標はワイバーンの谷とフェニックスが灰になった地点にTEK生物を見かけた場所であり、キャシーとソフィアだけでなく恐らくハンスさんの欲望もあからさまに混ざっている様につい苦笑してしまうのだった。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ファイアワイバーン(ワイバーン)
ライトニングワイバーン(ワイバーン)
ポイズンワイバーン(ワイバーン)
ティラコレオ(コレオちゃん)
フェニックス