七百九十一頁目
遺跡風の建造物は一部が奥へと続いており、如何にも何かありそうな雰囲気を醸し出していた。
しかし残念ながら奥には壊せない水晶の塊があるばかりで目ぼしい物は何もなかった。
或いはこの水晶を女神像か何かの代用として拝む場所だったのかもしれないが、とにかく何もない以上いつまでもここに居ても仕方がない。
……というより居ても立っても居られなくなるほどここだけ物凄く寒くなっていた。
そもそもこれまでの洞窟が熱の籠る場所だからこの洞窟もそうだと思い込んでいたが、そういえばこの洞窟に入ってから一度も熱気を意識したりはしなかった。
もしかして普通に服を着て松明を焚いているから気にならなかっただけでこの洞窟は全体的に涼しい場所なのではないかと、この格別寒い場所まで来たことでようやく気が付いた。
尤も遺跡から出てしまえば問題ない気温であることには変わりないので寒さ対策を考えていなかった俺達だがこのまま活動し続けても問題ないだろう。
だからあえてそれ以上この異様に寒い場所の事は考えずに去ると改めてアーティファクトがありそうなところを求めて探し回るのだった。
……しかしこんな意味深な場所に日記すらないのは珍しいというかなんというか……いやまあ僅かだけど前にも似たような前例はあった気はするし、下手に気にしても仕方ないんだけどさ。
七百九十二頁目
さらに右の壁沿いに進んで行くが見つかるのは見覚えのある動物ばかりで目新しい物は何一つない。
そのまま飛び石伝いにジャンプして崖の向かい側にわたる場所にたどり着いてしまったが、渡った先には先ほど通過した謎の発行する柱が見えている始末だ。
どうやらあの隙間を通った先はUの字を描くように向かい側であるここに繋がっていたようだ。
実際に先ほど向こう側から見つけた赤いカプセルと思わしきものは途中にあった……のだが残念ながら時間が経ち過ぎていたせいか俺達が手を伸ばす前に空気に解けるようにして消えてしまった。
まあそれはともかくとして落ちたら即死しかねない場所をジャンプして渡らずともこうして反対側へと辿り着けたのは有難い限りだが、ここまでの道中でアーティファクトを見つけられなかったのには結構困っている。
今回は前の洞窟と違って下の方にアーティファクトが隠れている様子も無いわけで、かといって他に進めそうな場所は見当たらない。
こうなると道中で見落とした可能性が高いわけだが、探索していない場所など殆ど……と首をかしげている俺を慌てた様子でソフィアが引っ張り始めた。
彼女もまた俺と同じ考えに至って周囲を見回していたようだが、そんな彼女が指し示す後ろの方を振り返ると離れたところに不思議な輝きが見えているではないか。
俺もまた慌てながら急いで望遠鏡を取り出して覗き込んでみたところ、確かにアーティファクトと思わしきものが鎮座し光を放っているではないか。
しかもその奥には見覚えのある水晶の塊が……いや間違いようもない、アレはさっき散々捜した遺跡じゃないかっ!?