ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第82話

二百四十五頁目

 

 未だに移動を嫌がるフローラにこのギリーという装備が作れれば必ず戻ると約束することでようやく納得させることができた。

 改めてラプトルを囲む用の防壁と、フローラが作った餌箱に肉を積めておきお腹が減ったらここから自発的に食べるよう指示を出してから飛び立った。

 ……最初からあの餌箱を作ればわざわざ仲間の動物たちに個別に餌を持たせる必要はなかったかもしれない。

 

 尤もそんなことを考えても仕方がない、後で戻ったら山肌の拠点に作って……フローラ曰くもう作っておいてきたそうだ。

 何だかここの所、フローラに敵わないことが増えてきた気がする……もう少し俺も気張らないといけないかもしれない。

 そんなことを考えながらも、北上を続けると道中にある湿地帯に差し掛かったあたりでフローラが物凄く嫌そうな顔をした。

 

 地面を見ればカエルが跳ねている……どうやらフローラにとってこの湿地帯は一番嫌いな場所のようだ。

 一応地図に印をしておいて、出来るだけ近づかないようにしてあげよう。

 

二百四十六頁目

 

 北上を続けると前に俺が休憩した山が見えてきた。

 あの頂上から見下ろした光景を思い出せば、もう一つの小島はもうすぐそこだと分かる。

 だからさっさと移動しようとしたところ、フローラが何やら物凄く興奮したような慌てたような声で騒ぎながら、いつの間にか自分用に作ったらしい望遠鏡で山肌を見つめている。

 

 いったいどうしたのかと、俺もまた自分用の望遠鏡でそちらを覗いてみて……ブロントサウルスよりデカい化け物が周りの恐竜を一方的に食い散らかしているのを目の当たりにした。

 ティラノサウルスすら比べ物にならない巨体で、木々すら平然となぎ倒しながら暴れて回るその姿はもはや災害に近いのではないだろうか?

 しかしあんな巨大な肉食恐竜は図鑑でも見た覚えがない……何よりティラノより大きい肉食など居たら有名にならないはずがないと思うのだが……。

 

 とにかくあんな生き物と関わりになりたくもない……流石のフローラも同じ気持ちのようでとにかくスルーして先を急ぐことにした。

 気付かれているわけでもないし、流石に海を渡ってしまえば追いかけてはこないだろう……来ないでくださいお願いします。 

 

二百四十七頁目

 

 再びフローラと共に青春を感じながらメガロドンのうろつく海上を渡り切った俺は……余りの惨状に目を覆いたくなった。

 少し考えたら想像できたことなのに……草食の生き物しかいない島があるのだからその逆もあり得るというのに。

 まして作為的に作られた空間で、草食島の反対側に配置されている島なのだ……それが肉食島だっただけという話だ。

 

 目の前でサーベルタイガーと大蠍が争い、そこへ角の生えた大型の肉食とそれより一回り大きな巨体のティラノが襲い掛かる。

 そして倒された死肉を貪ろうと空から俺たちが乗っているのと同じ大鷲が襲い掛かり……地獄絵図とはこのことだろうか?

 常にあちこちで生き物の死体が湧いて、すぐに他の生き物に食べられてはそこを襲われて死体になっていく。

 

 結果的に力の強いティラノばかりが残るように感じるが……全く生き物が尽きないのはやはり植物などと同じ様に目に見えない所で次から次へと湧き出しているのだろう。

 とりあえずアルケン君とタヴィちゃんの体力を回復させるため、唯一安全そうな島の中央で斜めに隆起している巨大な岩盤の先端に着地する。

 そしてすぐにでも戻ろうと飛び立とうとした俺だが、周りを軽く見回したところで二つのことに気付いてしまう。

 

 一つは、ここにも崩れかけた建築物の名残のある場所……恐らくあそこには日記があるのだろう。

 もう一つは……例の輝くカプセルが二か所に降り注いでいることだ。

 ……もう一つあった、その二つの事実にフローラが目を輝かせていること……帰りたいけど、これではしばらく帰れそうにない。




【今回名前が出た動物】

ユタラプトル
ベールゼブフォ(カエル)
ギガノトサウルス(ブロントサウルスよりデカい化け物)
ブロントサウルス
ティラノサウルス
アルゲンタビス(アルケン君・タヴィちゃん)
メガロドン
サーベルタイガー
カルノタウルス(角の生えた大型の肉食)
プルモノスコルピウス(大蠍)
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