ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第820話

七百九十三頁目

 

 遺跡まで引き返した俺達は例の寒くなっている空間のど真ん中に浮かぶアーティファクトを前にお互い顔を見合わせていた。

 絶対におかしい、こんな堂々と鎮座しているアーティファクトを見落とすはずがない。

 むしろこれは俺達が居なくなってから湧いたと考えた方が自然だ。

 

 もしかして先に誰かが潜って回収していて……いや、そうだとしても洞窟を出入りすればすぐにアーティファクトが復活するのは前の島で検証済みだ。

 しかし他には何も考えられないわけで、どうして今回だけこんな変な湧き方をしたのか不思議で仕方がない。

 ただキャシーに、とにかく今はあるんだから悩むのは後にして回収して帰りましょうと言われてしまう。

 

 確かにこんな危険な場所で悩み続けるより拠点に戻ってARKシステムに詳しいハンスさんに聞いた方が良いに決まっている。

 そう思ってアーティファクトを回収してその場を後にする俺だが、ハンスさんの事を思い出したことでふととある可能性が頭をよぎった。

 ……そういえばハンスさんはARK全体が少しずつバグってきていると言っていた……もしかしてアーティファクトが洞窟内に精製される仕組みも狂いつつあるんじゃないか?

 

七百九十四頁目

 

 流石に道中で敵を殲滅しつくした後だからか、帰りはスムーズなものであった。

 お陰で外に出た時にはまだ太陽が元気に活動中であり、お昼を少し過ぎたぐらいの時間のようだ。

 まあ殆ど動物の処理が面倒だっただけでほぼ一本道でアーティファクトまで辿り着けたのだから当然だ。

 

 特にあのジャンプして渡るべきところをショートカットできる場所を見つけられたのも大きかっただろう。

 ……しかしせっかく時間をかけて調べ尽くすつもりだっただけに、これほど早く終わってしまうとは予想外だ。

 尤も早い分には何も問題はないし、しっかりとアーティファクトも持って帰ってこれたので良しとしよう。

 

 さて、これで遂にこの砂漠で必要なアーティファクトが全て揃ったわけで、オベリスクの守護者との戦いはすぐそこだ。

 つまり皆とのお別れも…………いやまだ戦いの準備に時間が掛かるからもう少しは一緒に居られると思うけれども。

 果たしてソフィアとキャシーも同じことを考えていたのか、せっかく無事最後の洞窟を攻略できたというのに俺達の顔に浮かぶのは少しだけ寂し気な笑顔であった。

 

 …………きっとハンスさんもこのアーティファクトを見せたら同じような表情を浮かべるんだろうなぁ。

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