八百頁目
残る火炎放射器も試したいところであるが近距離にしか効果がないのと、下手に拠点内で使って火事でも起こしたら大変なため、野外に出て行かなければ試すに試せない。
しかし今は拠点内でワイバーンの卵を定期的に見守る必要もあるためちょっと出ていくのも躊躇われる。
だから仕方なく金庫の設置場所でも考えようと思ったところで、アルケン達が近づいてくるバサバサとした羽音が聞こえてきた。
ついさっきワイバーンの達に向かったばかりのソフィア達が帰ってくるには早すぎる気がして何かトラブルでも起きたのかと一瞬身構えたが、三匹並んで飛んでくるアルケンの背中に居る人物がハンスさん達であるとわかりホッと胸を撫で下ろした。
しかし今度はまだ日が落ちていないのに彼らが黒真珠狩りから戻ってきたことが不思議に思われた。
何せ一度に手に入る量がたかが知れている上にサンドワームの個体数を考えればこんなに早く必要数が集まるわけない。
だから着地した彼らを出迎えながら話を聞いてみれば何のことはない、ワイバーンの卵が孵化しないかこうしてちょくちょく確認に来ていたとのこと。
俺達がコレオちゃん軍団を連れているものだから高品質サドルを装備したゴーレム軍団とカルちゃん軍団でサンドワームを狩っており、その際にカルちゃんの方がすぐ傷だらけになるので豚に回復してもらう時間を利用してこうして戻ってきているようだ。
ちなみにカルちゃん軍団は毎回連れて戻ると余計に効率が悪くなるため外周部の砂漠の中にあるワイバーンの谷の傍に作った基地でゴーレム軍団と共に待機させているらしく、そこからの帰り道でキャシーやソフィアとも顔を合わせているようだ。
……こんなに早く洞窟から戻っている俺を見ても驚かなかったのは二人から事情を聴いていたからだろうが、そうなると今度は卵係として俺が残っていることも聞いているだろうに何でわざわざ戻ってきたのだろうか?
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新たな疑問も尋ねてみれば答えは簡単なものであった。
何でもこのままコレオちゃん達抜きでサンドワームを狩り続けるのは効率が悪すぎると判断して、洞窟攻略に漬かっていたコレオちゃん軍団を連れ出そうとしているようだ。
その際に通り道にあるここでアルケン達のスタミナを回復させつつ俺にも事情を話しておこうと思って立ち寄っただけとのことだ。
……後これはそっと耳打ちされたのだが、一緒に行動したがっていたルゥちゃんを連れて行ったは良いものの流石に危険なサンドワーム狩りに協力させるわけにも行かず困っており、ちょうど俺が戻ってきたのなら一緒にクラフト活動をしておいてもらおうと思ったようだ。
まあ言いたいことは分からなくもないので承諾しようと思ったが、どうせならハンスさんに残ってもらって俺とシャルル少年でコレオちゃんの運搬からサンドワーム狩りまでやった方が効率が良い気もした。
だから一応提案してみたが今回はハンスさん自身のやりたいことだから自分でやってみると断られてしまう。
……それは嘘じゃないんだろうけれど、多分ハンスさんは俺が居なくなった後でもやっていけるよう野外活動を含めて色々と慣れておこうとしているのだろう。
そんなハンスさんの顔つきは初めて会った時にパニックを起こしていた頃とは全く別人のように逞しくなっているように思われた。
もちろんハンスさんの決意を無下にするわけにも行かず俺は素直にルゥちゃんとお留守番することにした。
……うん、やっぱり皆ちゃんと成長しているし俺が居なくなってもきっと大丈夫なんだろうな。
今回名前が出た動物
ファイアワイバーン(ワイバーン)
ライトニングワイバーン(ワイバーン)
ポイズンワイバーン(ワイバーン)
アルゲンダヴィス(アルケン)
デスワーム(サンドワーム)
ティラコレオ(コレオちゃん)
ロックエレメンタル(ゴーレム)