八百七頁目
……ものすごぉい厄介事の気配がプンプンしてきたぞぉ。
外周部の砂漠を巡りながらカプセルを探すためちょくちょく内陸部へ目を向けていたのだが、途中で結構遠く離れたところで妙な動きをしている生き物を見つけてしまった。
何故そんな距離のある所に居る生き物をちょっと余所見しただけで気づけたのか……それはその生き物が見落としも見間違えもしようにない超巨大な体格をしていたからだ。
それはこの砂漠を行き来する際、たまぁに悠然と歩いているのを見かけていたあの超巨大な草食であった。
怪獣のごとき巨大さ故に天敵もおらず故にのんびりと餌を求めて回遊するばかりであったそいつが、しかし今は明確に何かに向かって突き進んでいるように見えた。
それは長らくARKで過ごしていた俺だけでなくハンスさんやシャルル少年ですら見覚えのある動き……好戦的な動物が獲物に襲い掛かる時や或いは自らの身を守るために率先して反撃しようとするときのようだとすぐにわかる。
しかし超巨大とはいえ草食であるこいつが自ら何かに襲い掛かることなどは無く、かといって自衛行動だとしても何度も言うが余りに規格外の大きさ故に襲おうとする肉食は存在しないはずであった。
……尤も何となぁく心当たりはある、何せ俺も前の島で一度こいつがこんな風に好戦的になっているところを見たことがあるのだから。
まともに戦って敵いそうにない化け物に手を出すのは、いつだって余計な知恵が回る輩……人間ぐらいのものだ。
実際に前の島でもこいつを捕獲できる準備が整っていたというのもあって俺と仲間達が手を出したのだから、ここでも同じような真似をする馬鹿が居ないとは言い切れない。
果たしてそんな俺の予想を裏付けるかのように無線が鳴り響いたかと思うと、モーリツさんが珍しく疲れた様な声で手を貸してもらえないかと頼み込んでくるのだった。
八百八頁目
どうやら思った通りの……いや想像以上に馬鹿馬鹿しいがシャレにならない状況のようだ。
モーリツさんの頼みはやはりあの爆走する超巨大草食への対処であり、一体何が起きているのか尋ねると簡潔にわかりやすく説明してくれた。
何でもモーリツさんが連絡を取り合っている別のトライブの輩が麻酔矢を作れるようになったことで調子に乗り、あいつに手を出してしまったらしい。
彼らはモーリツさんの操る移動拠点が羨ましくなったようだが、メンバーが多いためもっと巨大な乗り物をと欲張りあいつに目を付け、足場の悪いところへ誘導して岩山の上から攻撃し始めた。
しかしあいつの巨大さが規格外すぎて移動速度を計り損ねた上に動くたびに巻き起こる震動で足を取られた結果、目論見はすべて失敗に終わり今ではああして追いかけまわされているらしい。
既に半数が脱落しているようだがこのままだと自分達の拠点まで追いつめられて何もかも滅茶苦茶になりかねないと判断した彼らは慌ててモーリツさんにヘルプを入れたようだ。
…………勝手すぎるというかおまぬけすぎるというか……そもそもあいつは麻酔では眠らないタイプなのになぁ。
正直、モーリツさんも呆れているようではあるが万が一にもあの超巨大な草食に追われた輩がこっちに逃げて来て巻き込まれたらたまらないと判断して俺達に駆除か捕獲してもらえないか頼むことにしたようだ。
確かにあいつは体重が重すぎて金属質の建材すらひしゃげさせる力があるだけに、俺達の拠点だって何かの間違いで襲われたらシャレにならない被害を被ることになる。
そう考えればあんな風に暴走し始めてた個体を放置しておくわけにも行かないし何とかして駆除しておくべきだろうな。
今回名前が出た動物
ティタノサウルス(超巨大な草食)