八百二十一頁目
卵は表面に日々が入っており、いつ孵化してもおかしくない状態であった。
いつ生まれても良いように目を離さないようにしつつ近くにある食料保管庫に入っているワイバーンミルクの鮮度と在庫の数も確認しておく。
少し前にキャシー達が補充してくれたお陰でそれなりの量があり、もし最初に回収した卵5個全てが孵化しても今日と明日ぐらいは皆にミルクを餌として配給することができるだろう。
ただミルクの腐る速さを考えればワイバーンの成長速度次第ではあるが、これだけでは足りない可能性が高い気がする。
またいつの間にか増えていた……恐らくキャシー達が二人でミルクを回収しに行った際に持って帰って来たであろう追加の卵三つが遅れて孵化することも考えれば、近いうちにまたミルクを取りに行くことになるだろう。
その際はワイバーンの幼体の面倒を見る係とミルクを回収する係で別れる必要があるわけで、俺も残っている間は協力した方がよさそうだ。
そう考えるとオベリスクの守護者への対策が遅れるのは明白であるがこればっかりは仕方がない。
……俺も含めて皆もうすぐにでも守護者へと挑むような気持ちでいたけれど、思ってた以上に時間が掛かるかもしれないなぁ。
八百二十二頁目
突然モーリツさんから無線で連絡が入ってちょっとドキッとしてしまう。
何せ前回モーリツさんが連絡してきた時は超巨大な草食の対処というとんでもない厄介事を持ち込んできた時であった。
いや確かその前も外周部の砂漠へ遠征する人達の護衛というこれまた厄介な頼みごとをされたはずで、それらが積み重なった結果として無意識のうちにまた今回も面倒ごとなのだろうと予感してしまったせいだ。
そんな俺の気持ちを知る由もないモーリツさんは無線に応対した俺の声を聞くなり、何故か安堵したように息を吐いたかと思うと設計図をいつ受け取りに来るのか尋ねてきた。
少し前に防具を始めとした守護者との戦いに役立ちそうな設計図を融通してくれると約束していたが、どうもそのタイミングを決めるための連絡だったようだ。
しかしわざわざ連絡してこなくても何れモーリツさんの都合が良い時を見計らって訪ねるつもりだったのだが、何故かモーリツさんは何ならこちらから持っていこうかとまで言ってくる。
まるで少しでも早く設計図を渡そうとしているようにも感じられて、一体どうしてそんなに焦っているのか気になってしまう。
何せ設計図の譲渡に関しては基本的にモーリツさん側にメリットのある話ではないのだ。
それなのにどうして自分の事が最優先であると公言しているモーリツさんが時間を割いて持ってこようかと提案までしてくるのか、正直逆に不気味さすら感じてしまう対応だ。
だからつい問いただしそうになるが、ただでさえ一筋縄でいかないモーリツさんを相手に無線越しで対話したところで都合が悪いことがあれば煙に巻かれるのがオチだ。
それならば直接会って顔を見ながら対話した方が得られるモノは多い気がして、俺は何とか今日中に顔を出すようにすると告げておくのだった。
……だけどこれも厄介事を警戒しかけてた俺にまた上手いこと厄ネタを押し付けようとする罠の可能性も……うぅ、一体今度は何をやらされるんだろう?
今回名前が出た動物
ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン