八百二十四頁目
ARKに来た人間が最初に目を覚ますエリアへと向かい、アルケンの上から軽く辺りを見回せばパララ君二号はあっさりと見つかった。
早速近づいて声を掛けつつパララ君二号の背中に背負われた拠点へと降り立つと、すぐに中からモーリツさんが顔を覗かせてきた。
しかし意外なことに先ほどの無線連絡時に感じた焦りなどは一切感じられない落ち着いた様子であり、少し肩透かしを食らったような気持ちになる。
そんな俺をモーリツさんは手招きするとパララ君二号の住居内にある本棚の前まで案内してくれた。
果たして隅から隅まで埋め尽くすほど大量の設計図が保管されていて、いつの間にここまで集めたのかと驚かされてしまう。
しかも一つ一つ手にとって見ると同じ設計図が二枚ずつ存在しており、一つはそこそこの素材量でそれなりの品質のものが作れる設計図でもう一つは逆に素材の量こそ莫大だが高品質品を作れる設計図であった。
恐らく日常使い用とここぞという大事な一戦の時に持ち込む用の二つを用意することで、修理コストも含めた素材使用の効率を上げているのだろう。
実際に話を聞いてみると高品質の設計図で作った物は自分専用にしてきたが、そこそこの設計図で作った物は他のトライブの人間との交渉道具としても使っていたらしい。
特に他のトライブの人間が手に入れた設計図は素材の消費が問題で持ち腐れになっていることも多かったためそれらとの交換に利用したこともあったそうだ。
更には相手が持っている設計図自体もモーリツさんが素材も肩代わりして実物を作ってあげる代わりに貰ったりもしていたようで、それらを繰り返した結果これほど大量の設計図を集めることが出来たそうだ。
……自分のトライブの仲間と手分けしてカプセル巡りをして設計図を集めた経験はあるけれど、まさか他所のトライブの人手まで利用するだなんて俺には思いつきもしなかったやり方だ。
またそこそこの設計図の方で作った品を渡すこのやり方なら素材を節約できるだけでなく、もしも取引した相手のトライブと仲たがいしてもモーリツさんの方が品質の良い装備を固めているため優位な状況が覆ることもない。
尤もモーリツさんの事だから交渉の話し方で相手に恩を売る様な形を取っているだろうし、とにかく絶対に自分が不利な立場にならないよう立ち回っていることだろう。
……やっぱり優秀過ぎるというかなんというか……下手したらすぐ単独で動くことを考えてしまう俺なんかよりもずっとARKというサバイバル環境に適応しているんじゃないだろうか?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
パラケラテリウム(パララ君二号)