八百二十五頁目
モーリツさんの本棚には俺が集めようとしていた砂漠用の防具一式に加えて武器類も近接用の剣と槍から始まり火器類もピストルとアサルトライフルの設計図が揃っていた。
また他にも日常的に使うツールである採掘用品もピッケルからチェーンソーまでしっかりと確保されており、更には使用頻度の高い松明なども耐久性の高い品を作れる奴が確保されていた。
唯一動物のサドルは余り見当たらなかったがこれが偶然なのか集めるのを後回しにしているためなのか……或いは念のために俺達にも隠しておこうとしているのかは分からなかった。
ただここにある奴だけでも十分すぎるほどお宝の山であり、これらを使わせてもらえるのならばオベリスクの守護者との戦いはかなり有利になるだろう。
……強いて言えば今回の守護者が洞窟の壁画などで見かけた翼の生えているあいつならば空を飛ぶだろうしホーミングミサイルを活用できるロケットランチャーの設計図も欲しかったところだがそれは流石に我儘というものだ。
尤も前の島でもロケットランチャーの設計図は手に入らなかった気がするし、もしかしたらただでさえ強すぎる威力を強化させないようARK側が支給してないだけかもしれない。
まあそれはともかくとして、これだけの設計図を融通してくれるモーリツさんに感謝する俺……だが同時に内心での不安が更に強まっていく。
まさかここまで多くの物品の設計図を融通してくれるとは思っていなかっただけに、やっぱり何か面倒ごとを頼む前触れなのではないかと勘繰ってしまうのだ。
特にあの用心深いモーリツさんが本来は他のトライブから秘匿していると自分で述べた高品質な設計図を親しくしているとは言え別のトライブの人間である俺に公開しているのだから余計に違和感を覚えるのだ。
果たして俺のそんな気持ちが表に出ていたのか、モーリツさんは俺に対していつもの用に胡散臭い笑顔で煙に巻くように……ではなく珍しく真面目な顔で、君の事だからいつ一人で飛び出していくのか自分には想像もつかないからこそ今のうちに渡しておくべきだと思ったのだと言うのだ。
それはまるで無茶しがちな年下の子を心配する大人のような言い方であり、思わず俺は面食らって何を言っていいのかも分からなくなってしまう。
そんな俺を見て図星を突かれて黙り込んだと判断したのか……まあ実際に一人でオベリスクの守護者に挑むつもりでいたのだからそれも間違いではないのだが、とにかくモーリツさんはヤレヤレとばかりに肩をすくめながら、やはりかと小さく呟くのだった。
……このやり取りだけでも十分すぎるほど予想外だったというのに、その後で少しの間何事か考え始めた様子を見せたモーリツさんが次に告げてきた言葉に俺は更に驚かされることになる。
次に会う機会がないかもしれないからと前置きしてから続けられた内容は、俺の行動は無責任すぎるのではないかという指摘であったのだから……