八百二十八頁目
結局良い返事をしてくれなかったモーリツさんだがそれでも設計図を融通してくれるのは変わらないようであった。
そのため必要な物を遠慮なく回収させてもらい、早速実物を作り始めるためにアルケンに乗りこの場を後にしようとした。
ただ最後にもう一度だけ俺が居なくなった後も他の仲間達と協力関係を続けて欲しいとだけお願いしてみたがモーリツさんはやっぱり首を縦に振ることはなかった。
ただ代わりとばかりに最後の忠告だと前置きして……それほどまでにこの場所の攻略を急ぐのならば相応の訳があるのだろうが徹夜してまで動き続けるのは無茶が過ぎると言われてしまう。
要するに落ち着いて地に足のついた行動をすべきというサバイバルする上での大事な基本を忘れないよう忠告してくれているようだ。
あれだけ俺に失望した様子を見せていたというのにこうして気にかけてくれるのもモーリツさんの本質が優しい人である証拠の様に思われた。
……ただ俺は別に徹夜して動くほど焦ってはいないのだが、一体どうしてそんな誤解を与えてしまったのだろうか?
そりゃあ確かに昨日は夜遅くまでハンスさんと話し合ってしまったがそれでもしっかり睡眠をとって休んでいる。
、むしろ徹夜していたのはワイバーンの卵を見守っていた残留組のキャシー達の方であるのだが……とそこまで思ったところでもしかしてハンスさんは何らかの方法で俺達のトライブの情報を仕入れているのではという疑惑が湧いてくる。
そして昨夜の事が伝達される途中で微妙に歪んでしまいこんな誤解を生むことになったと考えれば納得がいく気がした。
しかしずっとこのエリアを徘徊しているモーリツさんが俺達のトライブの情報を知るには他の誰かから話を聞くぐらいしかないと思うのだが、他のトライブの人間は前に俺達が仲間にした超巨大な草食に襲われたショックも強く残っているだろうから、それが近くで待機しているこの拠点をむしろ避けようとするはずだ。
何より建造物を背負っている超巨大な草食が傍で待機しているせいで多くの場所が影に隠れており、外部からは視覚的にも拠点の状況を確認するのが難しいはずだ。
……となるともしも本当に誰かがモーリツさんに俺達の状況を伝えているとすれば、それはトライブの中の誰かと言うことになりそうだ。
実際のところモーリツさんから派遣されてきたシャルル少年なら彼と連絡を取り合っていても不思議ではないわけで……だけどモーリツさんを信じられると思えている今の俺は情報が流れていたとしても悪い事には利用するためではないだろうと半ば確信していた。
それでも一応カマを掛ける意味で、他の仲間にも心配かけないよう注意しますとだけ答えるとモーリツさんは確かに仲間達とそうした方が良いと、敢えて意味深に仲間という単語を交えながら呟いてみせたきな。
……やっぱり誰かと秘密裏に連絡を取り合ってこっちの情報を仕入れてたんだな、まったく本当に抜け目のない人だよ。
尤も俺がさらに突っ込みを入れようとするもモーリツさんはこれ以上追求されまいとばかりに論点をすり替えようと、そもそもあんな深夜に激しい発光現象を何度も引き起こされては事情を知らない者も含めて皆が迷惑するのだから作業するならば昼にしろと改めて徹夜をするなと遠回しに指摘してくるのだった。
……ちょっと待て、発光現象って何のことだ?
別に俺達は何もしてな…………待てよ、今モーリツさんは緑のオベリスクがある方を振り返りながら言ってたけど……ま、まさかっ!!?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン
ティタノサウルス(超巨大な草食)